□8話 視点:橘 樹 ページ9
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だが時として、転機は訪れるのだ。
そうそのときは突然やってきた。
ランサーが振り上げた手を振り下ろせば、気を失うルイスさん。
そこまでしなくても?と思う反面、ギルは違ったようで満足気にランサーを見つめていた。
母さんが言っていたことが本当ならギルが気に入る女性といえばひとり。
俺は彼が女性だということは信じていなかったが、きっと間違いない。
「うちのマスターが御無礼を働いてしまい申し訳ありません。今後このようなことにならないよう私が確りと見張っておきますので」
「なん、だったんだ?」
「くっくっくっ…随分と楽しそうなところではないかここは」
かの騎士王に頭を下げられる日なんて来ると思ってなかった。
頭を下げ、優雅に笑ってみせる横顔を目にすれば、かっこいいな、と思わず口元がゆるむ。
「やっぱ、かっこいいよな」
「おい、我と随分扱いが違うではないか!!」
頼んだら、俺の剣受けてくれるかな。
「おい、樹、聞いておるのか!」
「なあ、ギル。俺思ったんだけど、加減はしてるとは思うんだけどさ、大丈夫なのかな」
「まさか、あそこで伸びてるのを心配しているのか?」
そりゃだって、普通心配するだろ?
厨房にいた英霊に断りを入れ、水道を借りれば手持ちのハンカチを水でぬらし、
食堂の片隅にいるふたりの元へと向かう。
はぁ、と1つ溜息をつきつつも俺の後についてきてくれるギルを連れれば、
椅子に横たえる彼の横にしゃがみ、そっとハンカチを額にのせる。
「本当は、魔術でどうにかなるんだろうけど。ごめん、俺、そっちはからっきしでこれくらいしかできないんだけど気休めくらいにはなると思うから」
と小さく笑えば、「そんなことはないです。温かみを感じます」と笑いかけてくれる。
そんな微笑みをうければ、こちらもつられて笑顔になってしまう。
「俺は樹。んで、こいつはギルガメッシュ。これから、よろしくな!」
「はい。我が名はアルトリア・ペンドラゴン…よろしくお願いします、樹」
握手を交わせば、「真名まで言わなくていいのに」と困ったように笑う。
そんな彼の言葉を受ければ、横たえるマスターを視界に捉え、小さく微笑んで見せる。
「いいんです。マスターはきっと気にしないでしょうから」
「そっか。でもなんか、わかる気がするよ」
当人の顔を除けば、そっと額に手を重ねる。
その感覚で目が覚めたのか、ルイスと視線を通わせれば、にこりと笑いかける樹であった。
◇
■9話 視点:ルイス・スタインフェルド→←□7話 視点:橘 樹
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新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 翔べないペンギンさん» 見に行ってみます (2019年10月9日 20時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» uranai.nosv.org/u.php/hp/hyuuga075 御姉妹のイメージとしてはこちらとなります。 (2019年10月9日 20時) (レス) id: 1e7455f34a (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 翔べないペンギンさん» 無理なら、次女の容姿はどんなのか聞きたいです。 (2019年10月9日 20時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» お気遣いありがとうございます。いえいえ、そこまでしていただかなくてもよろしいですよ。なんとか自分で無から有を産み出せるように努力してみますので。ご提案ありがとうございました。 (2019年10月9日 20時) (レス) id: 1e7455f34a (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 翔べないペンギンさん» それなら、自分が書きましょうか?次女の容姿がわかれば書けますよ。 (2019年10月9日 15時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翔べないペンギン/湊 | 作者ホームページ:なし。
作成日時:2019年9月24日 22時