□49話 視点:橘 樹 ページ50
「そうか!彼は樹くんの兄君であったか!」
「はい…橘
「道理で似ているわけだ。彼は時計塔の伝承科だったな、次、顔を出すときには是非礼をさせてもらうよ」
「はは、気にしないでください。どうせ、兄貴がまともに授業受けてるわけないんで」
溜息をつけば、「そんな憂い顔の樹くんも良いな」と完全に楽しんでるシャーロットさん。
良いってなんだよ、全然良くねぇわ。
「なんだ、兄君には放浪癖でもあるというのか?」
「えっ、なんでわかったんですか?シャーロットさんはエスパーなの?!」
「まさか。初歩的なことだ、友よ」
まるでシャーロック・ホームズのような彼女に呆気に取られていれば順を追って説明してくれる。
まじでこの人、レディ・ホームズだわ。
「まあ謎でもなんでもないがな。だが困ったな、そうもなってくると探すにも骨が折れそうだ」
「俺も兄貴の放浪癖には苦労したからわかりますよ…俺、小学生のときに兄貴のアメリカ横断に連れていかれたんですよ」
「兄弟、仲が良くていいではないか。アメリカ横断など男同士ならではだと思うが」
「いや普通の横断がしたかった俺は。あんな行き当たりばったりな、宿も移動手段もない。手持ちもない、ヒッチハイクしては現地で知り合った誰かの家に泊めてもらうとか…しかも俺、低学年ですよ?!トラウマですよ!!」
「…やはり、君の兄君はとても面白い男のようだな。だが手持ちがないのなら資金調達は?」
「現地でアルバイトしましたよ…レストランのキッチン…アメリカンサイズの男に囲まれて踏み台にのって作業をした俺の悲しみがわかりますか…シャーロットさん…」
「なんと。だが、小学生の樹くんでは言語もままならんだろう。よくもまあ…いや、それはそれでかわいかったのだろうな、その時の写真はないのかな?」
「シャーロットさん…人間ていう生き物は追い詰められるとなんだってできるんですよ。向こうにいるうちに日常会話くらいは身に着きましたよ…ちなみに写真はないです」
と、そんなやりとりをしていれば呆気にとられてる麟子。
だが、すべて事実なのだから仕方ない。
「そうかそれは残念だ」
頬杖をつき笑ってみせれば、なにかに気が付いたのか「少し待っていてくれ」と扉に向かうシャーロットさん。
扉の向こうに見えたのは紛れもなく先程のふたりであった。
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新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 翔べないペンギンさん» 見に行ってみます (2019年10月9日 20時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» uranai.nosv.org/u.php/hp/hyuuga075 御姉妹のイメージとしてはこちらとなります。 (2019年10月9日 20時) (レス) id: 1e7455f34a (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 翔べないペンギンさん» 無理なら、次女の容姿はどんなのか聞きたいです。 (2019年10月9日 20時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» お気遣いありがとうございます。いえいえ、そこまでしていただかなくてもよろしいですよ。なんとか自分で無から有を産み出せるように努力してみますので。ご提案ありがとうございました。 (2019年10月9日 20時) (レス) id: 1e7455f34a (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 翔べないペンギンさん» それなら、自分が書きましょうか?次女の容姿がわかれば書けますよ。 (2019年10月9日 15時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翔べないペンギン/湊 | 作者ホームページ:なし。
作成日時:2019年9月24日 22時