【あるカルデアの日常】あるマスターの日常【派生作品】 (ページ38)

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■37話　視点:ルイス・スタインフェルドページ38

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　背に感じる温もりに、そのような些細なことなど気にしなくてもいいのに…と思いながら彼女の名前を呼べば、怒られると感じたのか背後で少し萎縮しているのを感じた。

「リリーさん、」

だから俺はーー。

　時間は少し遡る。

　朝起きた俺は見事に二日酔いに襲われ、大人としての威厳を口から出る排出物と共に消失してしまっただろう。

俺と、最早威厳を失った大人の同士であるカイルさんを待ち受けていたのはアルトリアとMr.エミヤの説教である。

「君達はいい大人であろう、何故ここまで(クドクド)」
「多少羽目を外すのいいでしょう、ですがそうなるまで(クドクド)」

慣れないジャパニーズ正座なるものをさせられて、サーヴァント二人に叱責を受けてカイルさんと一緒に身体を縮こませて終わるの待つ。

だがカイルさんが本日時計塔へ訪問しなければならないという理由で説教は早々に終わり、カイルさんは少し青い顔色でMr.エミヤにスーツやら鞄やらを用意されたのち、俺に留守を任せて経っていった。

「皆さんおはようございます。カイルさんより、各自部屋を御用意されたようなので荷物の整理等をお願いいたします」

沸き上がる頭痛と胸焼けと、慣れないジャパニーズ正座のための足の痺れを耐えてカイルさんから預かった各自の部屋のカードキーと場所を言い渡し、俺も与えられた自室へ荷物の整理へと向かう。

カードキーを当てがえば機械的な音と共に開いたドアから入る。

室内は白を基調とした部屋で、ベッドと簡易的な机と何かのモニターがあるのみ。

殺風景なのはまだ使用者がいないためだろう、鞄を机の上に置いて荷物の整理をしようとすればアルトリアに声を掛けられた。

「マスター、まだつらいのでしょう？私がしますので貴方は少し休憩してください」
「いや、いい。大したものは持ってきていないから」
「なら尚更でしょう、何処に何を置けばいいか指示をお願いいたします」

アルトリアの申し出に首を横に振った。

俺自身の荷物は服や便箋セットなどの小さなものなので直ぐに終わる。

鞄から取り出したものにアルトリアが目を剥いたのを感じた。

「え？」

取り出したのは鞄のサイズから到底取り出せないかのような大きなくまのぬいぐるみ。

「あぁ、妹がお守りにと一番のお気に入りのものを俺に持たせてくれたんだ」

俺の身長並みにあるそれを部屋の片隅に置いていれば部屋に来訪を告げるインターフォンの音が鳴った。