【あるカルデアの日常】あるマスターの日常【派生作品】 (ページ36)

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□35話　視点:橘樹ページ36

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玄関へと向かえば、おどおどした桜花さんの声ともう１つ、男？

いや、女の人の声が聞こえてくる。

「御機嫌よう、お嬢さん。私は、シャーロット・エインズワースだ。カイル・アーノルドに用がありきたのだが、ご在宅かな？」
「所長…ですか？」

「嗚呼。こちらに我が愛しの弟が到着しているはずなのだが、会わせてもらいたくてね」
「お、弟さん…ですか？あの、所長は今、時計塔に行っていて不在でして」

「桜花さん？誰…」

玄関へと顔をだせば、助かった！とすっかり顔にでている桜花さんと、女の人にしてはすらっと背の高い、如何にも貴族といった女の人が立っていた。

あのハスキーボイスはこの人だったのか…にしても、すごい綺麗な女の人だな。

「ええと。初めまして、橘樹です。所長は今朝、時計塔へでたばかりでして…あと弟さんについてですよね…エインズワースなんて聞いたことないけどなぁ」
「そうか。日程を誤ってしまったか…時に、少年」

呼ばれ見上げれば、さっと俺の前に屈み、手をとる女の人…は？！！なんで俺、手とられてるんだ？！

跪いてるし？！！

「そうか、君は樹くんというのか。日本人の男の子かな…いいね、その凛とした瞳。私は君の瞳に恋をしたよ」
「え？はっ？」
「だが今君とお話しをしている時間がないことが忍ばれるな。我が愛しの妹が待ちきれなくてね」

待って、なに言ってるんだ？
桜花さん、完全においていかれてるし！！

「ていうか、妹って…」
「嗚呼、紹介しようか。リリー、いつまでも隠れてないで、おいで」

と、声がかかればシャーロットさん(？)の背後からひょこっと顔をだす女の人がもうひとり。

って、え？なにこの人といっしょに今、しゃがんでたのか？！

もう、つっこみきれねぇんだけど。

「で、ですが、シャーロット姉様…その早くこの"片眼鏡(モノクル)"をノアに渡さねばなりません」
「なにそう急ぐことはないさ。ノアは不在とのことだ…それにそもそも、今日ここへ来たのはノアだけが理由ではないだろう？」

後ろから顔を出した女の人は、なんだかかわいらしい人だな、というのが印象で。
ゆっくりと落ち着いた様子で話す様が、お嬢様っていうのが痛いほどわかる感じだ。

「樹くん、もうひとり会いたい者がいるのだが」
「シャーロット姉様、本当に良いのですっ」

と、頬を染め必死に訴えるリリーさん(？)。

まるで、遠く離れた恋人に逢いに来たみたいだ。