【あるカルデアの日常】あるマスターの日常【派生作品】 (ページ25)

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■24話　視点:ルイス・スタインフェルドページ25

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　美味しそうに、幸せそうに、イラストを崩さないように慎重に食べている麟湖さんは大変可愛らしくて、頬杖を付いて眺めていたら俺の前にも樹くんが皿を置いてくれたではないか。

「えっ…これを、俺に？」
「さっきの礼…あ、でも甘いの苦手だったら他の誰かにあげてよ」
「とんでもない。見てくれアルトリア！パンケーキに君が描かれているよ！」

皿の上には麟湖さんの分のあの謎の動物のイラストが描かれていたパンケーキとは別で、俺の分にはアルトリアがデフォルメされたような可愛らしいイラストが描かれてあった。

後ろから覗き込むように樹くん作のパンケーキに描かれた自身に、アルトリアも穏やかに笑ってお上手ですねと言ってくれいた。

「アルトリアはブルーベリー中心に並べてみた。ルイスのは少し大きめに焼いたから、よかったらアルトリアと食べてよ」
「……樹くん、よければハグと頬擦りを」
「だが断る」

言い切る前に断られてしまったので思わず肩を落とす、こんなにも可愛いのに愛でられないだなんて俺にとっては拷問にも等しい。

隣で麟湖さんが魔術師マーリンに一口差し上げ下ている、所謂あーんとしていて俺もしてほしいと声をかける前に不思議な動物に食べられていて思わす笑ってしまう。

「酷いじゃないかキャスパーリング。それは麟湖(マイロード)が私にと差し出してくれたものなのに」
「フォウ！」

全身の毛を逆立てて威嚇している不思議な動物となにやら言い争いをしている魔術師マーリンと、気にせず美味しそうに味わいながら頬張っている麟湖さんにまた可愛いなあと思いつつ、フォークとナイフを投影して、考えた。

「マスター？冷めてしまいますよ？」
「……」

樹くんは樹くんでギルガメッシュ王に麟湖さんや俺にパンケーキは作っているのに自分のはないのかと文句を言っているのが聞こえるが、今はさして問題はない。

何が問題なのかというと。

「どうしようアルトリア、食べたいのだが樹くんが折角俺のために作ってくれたこれを残しておきたい」
「……食べるべきではないでしょうか」
「確かにそうだろう。だがこれはもう一種の芸術品だ。これを後世に残しておくべきだと俺は」
「いや食べろよな！」

聞こえていたのか一言俺に言って、樹くんは再び厨房の方へと行くのでおそらくギルガメッシュ王の分を作りにいったのだろう。

俺もそれほしい。