【あるカルデアの日常】あるマスターの日常【派生作品】 (ページ18)

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□17話　視点:橘樹ページ18

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厨房へと向かえば、先ほど所長を絞っていたサーヴァントに出会う。

ていうか、サーヴァントが飯作ってる…？！

「すまない、料理なら今作っているところでね」

「ひとりで回してるのか？すげぇな…ちょっとここのスペースだけ借りてもいいか？あと、材料も少し分けてもらえると嬉しいんだけど」

「料理を？無論、構わないが」

「おっ、サンキュ」

そっか、あれをひとりで作ってたのか。

しかも、めちゃくちゃうまかったし。

隣に立ち、材料と向き合い思考を巡らす。

さらっと食べれるパンケーキがいいよな…一人分にホットケーキミックスを開けるのももったいないし。

よし、決めた。

と、冷蔵庫を探り、目的のものを探せば、厨房の英霊へと声をかける。

各々の作業をしながらする会話にしては、案外花が咲いたような気がする。

「おいしいご飯ありがとな、すげぇ美味しかった」

「そう言ってもらえるとこちらも作り甲斐があるな。嗚呼、そうだ、先程はすまない。マスターが失礼を働いた…少々抜けてるところがあるのだが、悪気はないんだ」

しかも、めちゃくちゃマスター思いのサーヴァントじゃん。

「もう気にしてないよ、きっと所長も今日まで大変だったんだろうし…それにさ、かっこいいって思うんだ」

「格好良い？」

「だってさ、なんだって最初に物事を始めなきゃいけない人ってさ、すげぇエネルギー使うじゃん。でも、所長はさ、それを自らの意思でやってる。いろいろ失敗はあるかもしんねぇけど、でも、そんなところも全部ひっくるめてさ、かっこいいと思うんだ」

と、あっという間にホットケーキの生地を作ってしまえば、絞り器を作成し中へと注いでいく。

そんな姿に魅入っていたのもあるが。エミヤは嬉しかった。

自分のマスターを理解しようとしてくれる者がいてくれることが。

「ヨーグルトをいれたのか」
「おうっ、これやるとふわもち食感になるんだ」
「なるほど…それで、その絞り器はどうする？」

「まっ、見てなって！ただのパンケーキじゃつまらねぇじゃん！」

にっと笑って見せれば、絞り器をまるで筆のように操り、巧に絵を描いていく。

「大したできだ」
「ま、数少ない特技ってやつ…んじゃもう一枚焼くかなー」

絵を描いた上から生地を載せ、見事お絵かきパンケーキを完成させれば、

残り物のフルーツを利用し、飾りつけまでばっちり。

そんな作品ともいえるパンケーキが２つ、厨房に並ぶのだった。