St.Valentine*-05 ページ30
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短く切りそろえられたプラチナブロンドに映える深紅の瞳。
柔らかなトーンからは騎士の朗らかな気質が伺える印象を受けた。
まるで自分とは異なった、謂わば"春のひだまり"のような男。
彼女を見据える瞳が、声が、そのすべてが。
"あいしている"、と語っている。
だからこそ一目見て、この男だと理解することができた。
「初めまして。遠路はるばるよくぞおいでくださいました。クラウス・フリージアと申します。以後お見知りおきを」
「ディートフリート・ブーゲンビリアだ。よろしく」
かたく握手を交わし、流れる空気は無論穏やかとは言えず。
「お久しぶりです、ウェンディさん。早速で申し訳ないのですが、彼とお話しをさせていただいてもよろしいでしょうか」
「それは…構いませんが、ですが、フリージア卿。その前にまずは私からお話しを、」
隣に立つ彼の肯定を確認すると、その後が続くことはなく。
困ったように微笑む騎士は首を振る。
「申し訳ありません。今回ばかりは私の我儘を聞いていただけませんか。…では、こちらへ」
その様を目にすれば断る術などなく、ただ導かれるがままその場を後にする他ない。
そんな優しすぎる彼だからこそ、一人で傷つく道を選ぶのではないかと、心の何処かで案じるのだった。
「会ってすぐにわかりました。彼女の心の奥底…深くにいらっしゃる方だと。理由はわかりませんが、なんだか不思議ですね。実は、貴方と実際にお会いすればもっと憎しみだとか疎ましさだとか…そういった気持ちが生まれるものだと思っていたのですが、不思議と納得してしまった自分がいるのですよ」
覚えた感情は、"安堵"だった。
このまま、彼女を繋ぎとめて良いのか。本当はずっと不安だったのかもしれない。
奥底に秘められた者と向き合わず、けれど、その男が彼女から消えることは決してないだろうことをどこか理解していた。
どんなに愛していても、それはきっと彼女の本当の幸せを奪ってしまうことになるのではないかと。
「いろいろ言いたいことはあったはずなのに、すべて許せてしまうような。私の元には一足早く春の訪れがあったのやもしれません」
深く降り積もる雪は少しずつ解け、やがて春が訪れるように。
降り積もる思いは時と共に、現実味を失うように思えた。
決して偽りの気持ちではなく、心から彼女を愛し共に生きたいと願った。
だからこそ辿り着いた答え。
彼女の幸せを心から願うが故の答えであった。
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湊(プロフ) - ユキさん» 初めまして、コメントいただきありがとうございます。少しでも作品の素晴らしさをお伝えできるよう今後とも頑張らせていただきますので、どうぞよろしくお願い致します。 (2021年10月31日 11時) (
レス) id: ab18fde111 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 初めまして。素敵なお話をありがとうございます！ (2021年10月30日 13時) (レス) id: fb083d1d07 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - 小桜さん» そんなそんな。こちらこそお待ちいただけるということ程、本当に心強いことはなくて。こちらこそ、本当にありがとうございます。 (2020年12月27日 20時) (レス) id: ab18fde111 (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - 更新ありがとうございます！本当に素敵な作品です！これからも更新待っています!! (2020年12月27日 9時) (レス) id: 67fd5c2fc4 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - れいさん» 初めまして。あたたかいコメントいただき私も胸がいっぱいです。お手に取っていただき、そして素敵なお言葉をかけてくださり心から感謝を。引き続きお楽しみいただけるよう精一杯頑張らせていただきます。コメントいただきありがとうございました！ (2020年12月27日 9時) (レス) id: 83bbd53189 (このIDを非表示/違反報告)
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