番外編�� ページ17
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海軍省を後にしたのは16時を少し回った頃か。
制服を着替え、身支度を整え邸宅をでれば、時刻は16時半。
馬車に乗り、慌てて駅に到着すれば待ち合わせより少く早くつけたことにほっと息をつく。
誘った手前、遅刻をするなど言語道断だと彼は考えていた。
無論、仕事で遅れるという正当な理由はあるわけで、彼女もまたそんなことで機嫌を損なうようなことはないわけだが。何分、彼自身が自分を律しているのだ。
街並みは勿論のこと、駅もまたすっかりクリスマスムードと化しているためか、いつもよりも人通りも多く、これは見つけるのにも骨が折れそうだと溜息をつく。
「これならば、屋敷から共に行くべきだったかもな」
柄にもなく、待ち合わせなどするからこのようなことになる、と自身の選択に舌打ちをしたくなるわけだが探し歩けばそれは意外にも取り越し苦労に終わることとなる。
「あれだな」
漆黒の髪はいつもとは異なりアップで綺麗に纏められており、髪留めは派手過ぎず。
あしらわれているペリドットからは気品さえも伺えた。
柄にもなく緊張する。
いつもの彼女と違うからだろうか。自分のために。とまで烏滸がましい考えは持っていないつもりだが、つい勘違いしてしまいたくなる。
それ程に彼女は美しく、ここにいる誰よりも輝いて映った。
「ウェンディ」
「お疲れ様…もしかして、今日は結構立て込んだのかしら」
「…っ、顔に出ていたか？す、すまない、そんなつもりはなかったのだが」
「いいえ、出てないわ。私だからわかっただけよ。さ、乗車券を取りに行かないと」
そうにこりと微笑む彼女の手をとり、腕を組めばそっと近づく距離に心が温まる。
そんな感覚をこんなにも愛おしく思えるこの感覚はきっとこの先ずっと色褪せずに自分の心にあるのだろうとそう漠然と、感じるのだった。
「ディートフリート・ブーゲンビリア様。ならびに、ウェンディ・ブーゲンビリア様ですね。確認が取れましたのでこちらが乗車券となります。良い旅を」
笑顔で対応をする駅員に礼を１つ告げると、満足気に微笑む彼女の横顔につい頬が緩む。
「そんなに良いことがあったのか？」
「漸く、"ブーゲンビリア"って外で名乗れるようになったんだもの。こんなに嬉しいことはないわ」
「大袈裟だな」
「照れてる」
「照れてない」
「照れてるじゃない」
「照れてなどいない」
そんなやりとりさえも大切な二人の時間として刻まれていくのだ。
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湊(プロフ) - ユキさん» 初めまして、コメントいただきありがとうございます。少しでも作品の素晴らしさをお伝えできるよう今後とも頑張らせていただきますので、どうぞよろしくお願い致します。 (2021年10月31日 11時) (
レス) id: ab18fde111 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 初めまして。素敵なお話をありがとうございます！ (2021年10月30日 13時) (レス) id: fb083d1d07 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - 小桜さん» そんなそんな。こちらこそお待ちいただけるということ程、本当に心強いことはなくて。こちらこそ、本当にありがとうございます。 (2020年12月27日 20時) (レス) id: ab18fde111 (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - 更新ありがとうございます！本当に素敵な作品です！これからも更新待っています!! (2020年12月27日 9時) (レス) id: 67fd5c2fc4 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - れいさん» 初めまして。あたたかいコメントいただき私も胸がいっぱいです。お手に取っていただき、そして素敵なお言葉をかけてくださり心から感謝を。引き続きお楽しみいただけるよう精一杯頑張らせていただきます。コメントいただきありがとうございました！ (2020年12月27日 9時) (レス) id: 83bbd53189 (このIDを非表示/違反報告)
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