キミノコエ

11. ページ11

.









『 だから、その、 』



「 うふふ、なんでしょう？ 」









いきなりぶちかましすぎたな、とあんなこと口走った30秒前の自分を殴りたい気持ちと葛藤してると


ちゃっかり座り直して首をかしげて先を促すAちゃん。





…………小悪魔か。









『 …雨が降ったら傘を差せばいいよ、泣きたかったら泣けばいい 』



「 … 」



『 俺が君の傘になるよ、晴らすことは出来ないかもしれないけど、Aちゃんが安心して泣けるように、雨宿りができるように、俺が… 』



「 …片寄さん 」



『 ……なんてね、ごめんねいきなり笑 』



「 そしたら、私は片寄さんの傘になります 」



『 …………はっ！？ 』









一気に体温が上がっていくのが自分でも分かる。


言う側も頭から火が噴きそうなくらい恥ずかしかったけど聞く側もむず痒く恥ずかしい。


Aちゃんはこんなことをあんな真剣な表情(かお)で聞いてくれてたんだ。









「 …ってこれ、結構恥ずかしいですね笑 」



『 かなりね笑 』









顔を見合わせればどちらからともなく笑い合う。


ふぅ、と息を吐いて空を見上げると、東京の夜空に星が輝いて見える気がした。









.

12.→←10.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す