Snow White

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話があると私を引き止めた龍友。

いつもより行き詰まってるような、そんな顔。





「 …ここじゃ、いや 」


龍『 分かった、ここじゃなくてもいいから 』


「 ……準備する 」


龍『 うん 』





今度こそベッドを降りて、着替えを探す。

……アレ？





「 ……一旦帰っちゃダメ？ 」


龍『 パーカーならあるで 』


「 …狡い 」


龍『 何がやねん。帰るか？ 』


「 帰る 」


龍『 ちょっと待ってな 』





シャツのボタンを、ふたつ外して気がついた。

昨日シャワーも浴びずに寝たんだから当然服もメイクもそのまま。

こういうのって気が付くといきなりベトベトして気持ち悪い。





「 …メイク落とし……私のカバンは？ 」


龍『 そっち。

…選んでよ、スタイリストさん 』


「 自分で選びなさいよ、それくらい 」


龍『 ケーチ 』





ムスッとつまらさそうな顔をして、クローゼットを開くと綺麗に並んでるハンガーを漁る龍友。


クローゼットの中って、その人の性格がよく分かる。


龍友はジャケットだけじゃなくてパーカーもちゃんとハンガーにかけるタイプ。

ハンガーの向きはすべて一緒。

クローゼットの中の芳香剤は香りのキツくないものを角にふたつ。



綺麗にも程がある。
見やすくて、それでいて見た目まで綺麗。


見えないところがきっちりしすぎてる人こそ、身の回りが絡まる。

龍友って、絶対カバンの中汚い。









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