甘い魔法 〈 ryota.k 〉 ページ37
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随分素敵な夢を見たな、もうそう思うことにした。
ぼーっと横にいる彼の顔を眺めること約10分。
それが一番いい解釈の仕方だと、10分も考えてたどり着いた答えは一番初めに思ったこと。
一周回った思考回路はもうパンク寸前でピーピー警告音が響いてる。
『 …どうしたの? 』
そんな警告音を一瞬にして止めた甘くて軽いふわふわした声。
うつ伏せのままこちらに顔を向けて、長い手を伸ばしてくる。
その手を払う、と言う考えは、行動に移す前に泡になって消えた。
『 んふ、顔赤いよ? 』
ほっぺを優しく撫でる指に熱を感じながら恥ずかしくなってシーツを口元まで上げる。
『 ずっと見てたでしょ? 視線で起きたよ、第六感ってやつかなぁ? 』
「 ふふ、なにそれ 」
『 ほんとだよ! 見えたの!目閉じててもこっち見て微笑んでるAさんの顔! 』
戻ってる。さっきはAって呼んでた涼太くんは今、私のことをAさんと呼んだ。
…やっぱり、夢を見てたんだ。
「 涼太くんは、そういうの鋭いよね。」
『 そういうの? 』
体制を直して今度は体ごと私を見る。
サラサラ動く前髪が目に掛かるのが気になるのか、顔をフルフルと振った姿はもうわんちゃん。
「 人の視線とか、人が思ってること。」
『 そうかなぁ? 』
涼太くんの前髪を横に流してあげながら答えると嬉しそうに笑いながら眉毛を下げる。
「 うん、きっとね 」
『 じゃあ、今Aさんの考えてること当てるね 』
「 ふふ、いいよ、当ててみて 」
『 Aさん、夢じゃないよ。ほんとにこれが夢なら覚めたくないよ、俺。』
「 …え 」
覚めたくない。
思ってることを言い当てたことより、涼太くんが言ったその言葉に集中する。
『 Aさんは? 』
「 私も…覚めたくない… 」
『 んふ、一緒だね 』
そう言って彼は私の唇にキスをした。
『 夢から覚めない魔法ね 』
そう微笑んだ彼の笑顔は空に輝くどの星よりも綺麗だった。
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聖也(プロフ) - 隼くんのエグい話の方が気になって仕方がないです笑 それにしても、どのお話も素敵過ぎます! (2017年6月2日 22時) (レス) id: 34ecd099f6 (このIDを非表示/違反報告)
聖愛(プロフ) - れおくんの【カミナリ】また見たいです!急にすいません!リクエストです!これからも頑張って下さいね!応援してます! (2016年2月24日 19時) (レス) id: fbed1c1f5c (このIDを非表示/違反報告)
もりか - コモリサンの話最高 (2016年2月14日 12時) (レス) id: 5f54ca14af (このIDを非表示/違反報告)
ミンちゅ~(プロフ) - 玲於くんの話が読めて満足しました!笑最終的に玲於くんがデレるってやつ大アリです!笑リクエストに答えて下さってありがとうございました! (2016年2月7日 22時) (レス) id: 9e26668220 (このIDを非表示/違反報告)
くまのぷーさん - 私も長女なんですよ!なかなか甘えられなくて……笑 移行したら、またリクエストします!! (2016年2月7日 20時) (レス) id: cf8db695fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーちゃむ | 作成日時:2016年1月20日 13時