01.幸せの基準 ページ1
｢サイバ！｣
クラスに響き渡る大きな声。その声の持ち主を、私は顔を見なくても誰か分かる。
｢何？｣
｢あんな！かめむしにドッキリ仕掛けようかと思ってるんやけど！｣
夢中になって話すその姿は、誰よりも輝いてて、誰よりもカッコイイ。
前髪を直すように首を振るところも、笑った時の顔も
、声も、匂いも全部全部愛しい。
｢まーた見てんの？｣
｢いいじゃん、…見るだけなら、｣
｢そんなんで満足なの？｣
｢うん。話しかけれるわけないじゃん｣
長い髪を一つに纏めてポニーテールにしてる莉菜は、呆れた顔で爪をいじりながら唇を尖らす。
血色のいい唇が私への言葉を音にする。
｢そうやって見てるうちに取られちゃうよ？｣
｢取られちゃうも何も…、まず取れないし、｣
｢分かんないじゃん、そんなの｣
YouTubeっていうもはや今の時代誰もが使う動画アプリで、彼は活躍してて、
はやしんっていう名前で活動してるのもあって、学校でもその名前で親しまれてた。
そんな彼を好きだと気づいたのは、同じクラスになってから。
図書室でどうしても借りたい本があった時、背が届かなくて困ってた私に、
｢これ？｣と意図も簡単に取ってくれたことがきっかけ。
それだけ、ほんの些細なことで私は真っ逆さまに堕ちた。
｢帰ろうよーー｣
｢あ、うん｣
｢スタバでも寄ってく？｣
｢いいね、！｣
彼はそんな小さな出来事なんて、きっと覚えてないんだろうけど。
私には人生で起きた大きな出来事トップ3に入るくらいの出来事だった。
｢めっちゃおもろいそれ！｣
｢やろ？まーちんも誘ってやらへん？｣
｢やるに決まっとるやろ！｣
後ろで笑いながら話してる声を聞きながら教室を出る。
その声が聞ければ、私は幸せだった。
*
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みー - こんにちは！ はじめまして とっても面白いです！続きめっちゃ気になります！頑張ってください！ (2017年11月27日 6時) (
レス) id: 16d5d8deee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めいと | 作成日時：2017年11月19日 23時
