河井 ページ41
「なんやねん」
「あんまり大きい声出さんでくださいよ」
「ちょ、押すなって」
「ゆずるさん、静かに」
「何タメ語で話してんねん」
「いだっ！」
廊下で戯れあっている男性2人
そこは私の楽屋前
「どうされましたか？」
男性二人組に声をかける
「あ、いや、その〜」
よそよそしく答えるその人は
もう1人の男性を盾に後ろへ隠れた
「なにかありました、、？」
今度は私が恐る恐る聞く
「いや、何もありませんよ
ほら、リリー行くで」
リリーさんは頭をペコっと下げて
河井さんと去って行った
楽屋に入り足の力がストンと抜けた
「びっくりしたー！」
私は河井さんと付き合っている
もちろんそのことを知る人はいない
私が彼に口止めをしているからだ
「いつになったら言うてええの？」
「もう少しだけ、、」
「なんで隠す必要あるん？」
「そうですね、、」
「そんな頑なならええわ」
この言い合いがきっかけで
連絡さえもまともに取っていない
だからさっき廊下にいた時は
何か言われるんじゃないかと
気が気でなかった
でも久々に会えた河井さんは
少し痩せたように見える
ﾋﾟｺﾝ
河井さん仕事終わり次第家行くから
落ち着いた心がまた走り出す
覚悟を決めて彼と会う準備を進めた
ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ
いつもなら出迎えるのに
怖くて彼の元までいけない
ｶﾞﾁｬ
「久しぶり」
「お久し、ぶりです」
彼は眼鏡をかけていて
お気に入りのアウターを脱いで
ソファーに置いた
「あ、私ハンガーにかけてきますね」
彼のアウターを手に取ったけど
彼の手でそれを阻止される
「後でええから座って」
彼に促されソファーへと座る
「なんで付き合ってること隠さなあかんか
理由教えてくれんか？」
「、、、」
「言いたくないかもしれんけど
このままやったら終わってまうで」
「それは嫌！」
「ほんなら言うてや、、」
「河井さんがモテすぎるから」
「へ？なんて？」
「だから！河井さんがモテるからです！」
「はあ〜なんやねん」
呆れ顔の河井さん
「そんなん言うたら自分もそうやろ」
「そんなことないです」
「今日楽屋に行ったのはリリーがお前のこと
可愛い言うから一緒に来てくれって
ほんまアイツのことぶっ飛ばしたかってんけど」
「これでも俺、ヤキモチ妬いてるからな
理由も聞けたし明日からみんなに言うわ」
嫉妬深いあなたを知れてよかった
end
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作者名：いたちっこ | 作成日時：2022年10月20日 17時
