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「お水の方がいい？」
「うん。ありがとう」
テーブルにコップを置いたAは
俺と少し距離を置くように座った
「すまんな、急に」
「濱家さんから連絡きたから」
「そうなんや」
会話も続かない
そうやんな、最近まともに話してへんかったし
「仕事、どうなん？」
「最近転職して新しい会社に行ってる」
「そうなんや」
転職してたことすら知らんもん
「将企くん、私のこと何も知らんもんね」
その言葉が胸に刺さる
「私ら、最近会ってもないし連絡もしてなかったし」
「うん、せやな」
「付き合ってる意味あるんかな？って」
「・・・」
「仕事もたくさん入ってきて忙しいのもわかる
私がLINE送っても既読にはなるから見てんねんなって
付き合い長いから将企くんのことも理解してるはず
そう思っとったけど、そんなことなかった」
俯き声を震わせながら話をするA
「私が連絡せぇへんようになっても連絡来るわけでもない
将企くんの日常にもう私はおらへんって気付かされた」
あのメールの意味がようやくわかった
「濱家さんは私ら別れたこと知らんやろ？
将企くんも心配かけたくないやろうし」
「今日どうする？ここ泊まる？
それとも自分の家帰る？」
ここで帰ったらもう二度と会えないと思い
「泊まって行ってもええかな？」
「ほんなら私はここで寝るから
将企くんはベットで寝て
私布団とってくるわ」
そういうと彼女は立ち上がり部屋を出ようとする
「待って」
「？」
「今日メール見て俺の隣にAがおらんくなるって
想像しただけで、こんなにだらしなくなってまうねん
ちゃんとAとの時間も取れてへんかったし
寂しい思いさせてることもわかってへんかった」
Aの瞳がユラユラと揺れている
「こんなん自分勝手なことやってわかってるけど
俺は失いたくない、これからもそばに居てほしい」
そういい終わるとAの頬に涙が流れた
「遅いよ、バカ」
泣きじゃくる彼女を抱きしめた
「ほんまにごめん
ごめんって言葉だけじゃ済まへんけど」
「ううん、その気持ちだけで嬉しい」
「ありがとう」
その後もお互い会えなかった時間を埋め合わせるように
話をしていた
「え、もうこんな時間」
「外明るくなってきたなぁ」
「明日絶対遅刻する」
あはは、と笑う彼女が可愛くて
静かに口付けをした
end
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作者名：いたちっこ | 作成日時：2022年10月20日 17時
