川西 ページ18
バタバタといつも以上に慌しい
どうやら出演者が急遽変更になったそうだ
「あ、Aこれ貼ってきて！」
頼まれた紙には変更になった出番表が書かれていた
二重線が引かれている箇所をみると
「和牛、、」
劇場に重きを置いている和牛さんが
変更するってよっぽど忙しいんだなぁなんて
気軽に考えていたのに
「え？川西さんが体調不良？」
廊下で話していたスタッフの会話に耳を傾ける
「声大きい！これ内密な話やから」
「でも昨日の劇場では元気そうやったけど」
「昨日はここ来る前に点滴してきてたらしいで」
え、昨日お会いした時は
そんな素振り全然見せなかったのに
「川西さん、おはようございます」
「おぉ、おはようさん」
「和牛さん連続劇場で大変ですね」
「そんなことあらへんよ」
「体調気をつけてくださいね」
「ありがとう、Aちゃんもね」
この会話をしている時から
川西さん具合悪かったんだ、、、
気付かなかった私も悪いけど
それを気付かせない川西さんも
プロとしてすごいと思った
「あ、Aちゃん」
声をかけられて振り返ると水田さんだった
「水田さん、お疲れ様です」
「今日は何も疲れることしてへんけどね笑」
「やっぱり和牛さんの漫才見ないと元気出ないです」
「ほんま？嬉しいこと言うてくれるなぁ」
あ！と何かを思い出した水田さん
「そうや、Aちゃんに頼み事があってん」
「なんでしょうか？」
「俺、この後ピンでの仕事が入ってもうて
賢志郎のお見舞いに行けへんねん
やから俺のかわりにご飯作ってきてくれへん？」
「え！え！？マネージャーさんは？」
「別件の仕事が入ってるらしいねん」
「いや、でも、、、」
「ほんまお願い！一生のお願い」
この通り！と頭を下げられたら
「、、わかりました」
ほんま？ありがとう！と水田さんは早速
川西さんの住所を教えてくれた
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作者名：いたちっこ | 作成日時：2022年10月20日 17時
