short story for･･･ (ページ6)

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タバコの香り／次元大介ページ6

バケツを思いっきりひっくり返したかの様に体を打ち付ける雨。

友人の借金の連帯保証人になってしまい、その友人が最近行方不明になった。

そのため、連日私の家に借金取りが来るようになった。

ギリギリの状況で逃げたは良いが外は土砂降りだった。

車のライトが眩しくて目を閉じた。

その瞬間私の意識は途切れた。

心地よい揺れと煙草の匂いで目が覚めた。

よく確認をすると私は男の人におぶんされていた。
そして彼のものであろう黒いジャケットを羽織っていた。

「起きたか、危なっかしいお嬢ちゃん」

雨の中はっきりと聞こえた心地よい低音。

「びっくりしたぜ、前から車が来てるっていうのに退かねぇし、終いには倒れちまうから。

危機一髪だった」

あの時、そのまま轢かれてしまえば楽だったのかもしれない。

「何かから逃げてきたのか？それで死のうとでもしたのか？」

「借金取りから･･･逃げてきました。けど死ぬつもりはあの時はありませんでした」

男の人はピタリと止まった。

そして

「キャッ」

私をそのまま地面に落とした。

「いたた･･･何するんですか！」

男の人の顔を見た。

私よりもはるかに年上の様だ。

彼は私を見下ろした。

「死にたいならそこらでのたれ死んでおけ。俺は死に際の女の面倒は見ねぇよ」

その言葉は冷たいものだった。

「なんで」

「あ？」

「なんで私がこんな事に･･･」

涙が溢れ出して来たがそれは雨と同化してしまっていた。

「助けて欲しいならそんなこと言うな」

「え？」

「･･･死にてぇなんて、縁起でもない事」

この人は優しい人なのだろうか？

「お前さん、名前は」

「Aです」

「俺は次元大介。助けてやるから乗れ」

次元大介と名乗った男は私に背を向けしゃがんだ。

その背中に乗ってしまった私はとても弱い女だ。

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「何で私を助けたんですか？」
「さぁな」