short story for･･･ (ページ19)

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迷子／磯部寛之([Alexandros] ) ページ19

磯部寛之 33歳職業ベーシスト。

迷子になりました。

ツアーの為地方に赴いた俺達。

ついて早々うちの天然ボーカルが「お腹空いた！」との事でそこら辺をぶらぶらしていた訳なのだが･･･。

「みんなとはぐれた」

ケータイ無し。

財布無し。

あるのは･･･食堂！

俺は早速目の前にあった食堂へ足を進めた。

「いらっしゃいませ！」

扉を開けると元気の良い声で迎えてくれた。

「あっ！ヒロ！」

「洋平！みんなも！」

なんと[Alexandros] 勢ぞろい。

なんか無事合流できたみたい。

「どこ行ってたんだよ心配したぞ！」

と、聡泰。

「まだかなぁ」

まーくんは俺の心配をしてないみたい。

悲しい。

「あれ？洋平は？」

気が付くとさっきまで隣にいたはずの洋平が姿を消していた。

「迷子？」

まーくん、それは無いよ。

「あぁ、可愛い店員さんのところ」

「可愛い店員さん？」

キョロキョロとあたりを見回すと洋平は店員さんと話していた。

ちょっとタイプかも。

暫らくすると洋平は戻ってきた。店員さんを連れて。

「こちらAさん！ヒロの事一緒に探してくれたの！」

「そうなんですかすみません。ご迷惑をお掛けしてしまい」

「いいんですよ！とにかく見つかって何よりです！」

Aさんはニッコリと笑いながら言った。

洋平によると、俺が電話に出ないからとりあえず近くにあったこの食堂に入り俺が来なかったかAさんに尋ねた所一緒に探してくれたらしい。

でも結局空腹には勝てず食堂に戻ってきたら俺が来た。

との事だ。

「もうすぐで出来上がりますから！あ、ヒロさん？でしたよね？ご注文は？」

「あっ、そうですね！じゃあ、肉うどんで！」

「かしこまりました！」

Aさんはパタパタと店の奥に行ってしまった。

「可愛い･･･」

思わず心の声が漏れた。

「ヒロ？どうしたの？」

洋平が不思議そうに聞いてきた。

「何でもないよ」

磯部寛之 33歳職業ベーシスト。

食堂の店員さんに一目惚れしました。

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「ヒロ、Aさんに惚れちゃった？」
「うん･･･あ、違う！」
「ふふっ、ばればれだよー」