＊ハイパーカレシ２＊ (ページ50)

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◇98◇ツナside【友達の好きな人】ページ50

俺が椅子に座るのを待ってから、Aは話し始めた

A「1つ目は、質問…なんだけど」

「？」

A「背中の傷…酷いの？」

「…！？何で、知って…」

Aの表情から、真剣な話であろうことは何となく伝わっていた

だから割と心の準備をして聞いたんだが…それでも唖然としてしまった

幻騎士に斬られた背中の傷は、Aに言わないつもりでいたから

A「…帰り道にツナくんの後ろ歩いた時に、見えて」

「…、そう、か……」

戸惑いを隠せず、言葉が出ない

そんな俺を見てAは悲しそうに目を伏せた

…違う、君にそんな顔をさせたくて黙ってたわけじゃない

「…謝らないといけないことがある」

A「…？」

「背中の傷は…お前に隠すつもりだった」

A「え…」

「ごめん。隠さないって言ったのに……その、見た目が結構…きついんだ」

背中に刻まれたバツ印の切り傷なんて、そんなグロテスクなものを見せられるはずがない

だけど…

「だけどそんな顔させるなんて思わなかった。ごめん…」

優しさは…難しい

大切にしたくても、返って傷付けてしまう時がある

…分からなくなってしまいそうだ

A「…そんなに謝らないでよ、ツナくん」

降ってきたのは柔らかい声だった

視線を上げると、ショックを受けた様子でいたはずのAは優しく微笑んでいた

A「私のこと考えてそうしてくれたんでしょう？」

「それは…そうだが…」

怒ったり、文句でも何でも言ってくれていいのに…Aはそうはしなかった

それどころか、クスっと楽しげに笑った

A「でも私、隼人と武の傷で見慣れてるからたぶん大丈夫だよ。あの2人の火傷も結構すごかった」

「…！」

俺は…この子を甘く見ていたのかもしれない

打ち明ければ、Aはきっと受け止めてくれる

痛みを分かち合ってくれる強さを持っていること、俺は知っていたはずなのにな

「…明日から…包帯替えるのAに頼んでもいいか？」

A「…！うんっ！」

Aはぱぁっと花が咲いたように嬉しそうな表情をした

君に心配をかけないために…そのために俺は強くなろう