＊ハイパーカレシ２＊ (ページ14)

今日:5 hit、昨日:19 hit、合計:63,849 hit

◇62◇ ページ14

言葉を詰まらせたまま、ツナくんは俯いた

「ツナくん？」

声をかけると、立ち上がってこちらに近づいてきて

そして何も言わないまま私の隣の椅子を引いて、すとんと座った

ツナ「…A」

「…っ」

静かに私を見つめるツナくんの瞳が綺麗で

恥ずかしいのに目が逸らせない

ツナ「俺は……お前とこうして話してるだけで不安がなくなるし、疲れが取れる感じがする」

「…へっ？」

ツナ「休憩中に見かけると元気出るし、声を聴くと…ほっとする」

戸惑う私に構わず、ぽつりぽつりと語りかけるように話すツナくん

その真っ直ぐな言葉が心に直に響いて、熱を灯していく

ツナ「“存在意義”なんて考えなくていい。頑張らなくたって…居てくれるだけで…」

「…！」

…色んな感情が今にも溢れそうなほど渦巻いている

そんな言葉をもらえたのは、きっと生きてきて初めてのことだった

「…そんなこと言ってもらえて…頑張らないなんてできないよ」

ツナ「え、」

「もっと頑張ろうって思っちゃうよ」

照れを隠すのも馬鹿らしくなって、感情のままに笑った

たぶん、だらしない笑顔だったと思う

「ありがと、ツナくん」

ツナ「逆効果だったけどな…」

「ふふ、でも、ちゃんと伝わったからね」

ツナ「…よかった」

私、ちょっと考えすぎだったな

未来の世界に来て、普段に増してネガティブになってしまっていた

理由がなくても、自分の価値が分からなくても…居ていいんだ、ここに

みんなの輪に

ツナくんの傍に

彼がくれた言葉を思い返す度、胸がきゅうっとする

不器用に、だからこそただまっすぐに、本当に思うことを伝えてくれたんだなって信じられる

ああ、私……ツナくんのこと、だいすきだなぁ…

この夜のことはきっと何度でも思い返して、その度に力を貰うことになる