＊ハイパーカレシ２＊ (ページ12)

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◇60◇ ページ12

時間をかけずに読めるかなと適当に選んだ、薄めの文庫本

切ないお話だけど、読みすくてとても私好みだった

「でもね、この本…未来の本なの」

ツナ「え？」

発行日が記載されているページを開いて、日付を指さして見せる

ツナ「…本当だ」

「やっぱり、未来のこと覗き見するみたいで良くないかな…？」

なんだか、いけないことをしているような後ろめたさがあって…

でも好奇心に逆らえず読み始めてしまったのだった

ツナ「大丈夫だろ、本くらい」

「…そうかな」

ツナ「真面目だな、Aは」

クス、とツナくんが笑う

ツナ「気になるなら、みんなには秘密にしておけばいい」

「う、うん」

“秘密”って言葉にはちょっとドキッとしたけど、ツナくんの“大丈夫”には不思議な安心感があると思う

体の余計な力が抜けていくような

「…えっと、ツナくんは今日は何してた？」

本の話、私は楽しいけど…

せっかくだからもっと違う話がしたいと思って、躊躇いながらも私から質問してみることにした

正直、ツナくんに聞きたいことは沢山あるのだ

ツナ「……修業しかしてないな…」

「どんなことしてるの？」

ツナ「ラル・ミルチとひたすら…模擬試合みたいな事してる…。俺のことはいいだろ、Aのことが聞きたい」

「えぇ、この前「お前が望むなら」って言ってくれた…」

ツナ「う…、でもな、話して面白いようなことが何もない…」

話を逸らそうとするからむくれて見せたら、ちょっと困らせてしまったみたい

そんなことを言ったら私だって面白い話は何もないんだけどな

ツナ「そうだ、ビアンキがAのことを褒めてた。覚えが早いって」

「えっ、そうかな。嬉しいな」

ツナ「…頑張ってるんだな」

「あはは…、必死だよ」

毎日、隼人と武の包帯やガーゼなんかを替えさせてもらったり、傷の経過をビアンキさんと一緒に診たりして…

まだまだ下手っぴだけど、最初よりは包帯を上手く巻けるようになったと思うし、少しは知識もついた

ツナ「無理…してないか？」

「大丈夫！」

そう言って明るく笑ってみせたのに、ツナくんは何故か更に心配そうに眉をひそめた