＊ハイパーカレシ２＊ (ページ11)

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◇59◇ツナside ページ11

今日も話せなかった…

朝から晩まで修業で…俺が休憩中だとしてもAは忙しそうだし、食事はみんなで取るし…2人になれる時がない

内緒話をする訳じゃないから他の人が居ても問題はないんだが…

なんとなく、2人がいいと…思ってしまう

風呂上がり、乾いた喉を潤すため向かった食堂には京子とハルだけで、Aは居なかった

「…Aはもう寝たのか」

京子「Aちゃんなら図書室だよ」

「図書室？」

ハル「おととい見つけたんです。Aちゃん読書が好きみたいで、喜んでました！」

京子「毎日通ってるんだよ」

「…そうなのか」

また俺の知らないことが見つかった

…早く…話したい

ハルの淹れてくれたお茶を飲み干し、2人に「おやすみ」と挨拶して、図書室へ向かった

…今なら…

…

図書室がある12階に来るのは初めてだ

聞いた通りAは図書室で読書していたが、俺が部屋に入っても気付かないほど集中していた

…これは…話しかけたら邪魔をしてしまうな

音を立てないように、Aと少し離れた場所の椅子を引いた

…が、さすがに気づかれた

A「……！？ツナくん！？いつから…」

「たった今だ」

A「ごめん、気づかなくて…」

「俺こそ、邪魔してごめん」

A「ううん、声掛けてくれてよかったのに」

ぱたん、とAが本を閉じた

「読書、好きなんだな」

A「あ、うん。…京子ちゃんとハルちゃん？」

「ああ。さっき食堂で聞いて…来てみた」

A「そっか。…やっと、って感じだね」

「ああ、…やっとだ」

話したいのが俺だけだったら、とか…考えなかった訳じゃないけど…

A「ツナくん何回も声掛けてくれたもんね。…ありがとう」

彼女がそう言って微笑んでくれたので、不安は消えた

同じように望んでいてくれたことが嬉しくて、口元が緩む

だけど改まると何から話していいか迷うな…

視線を泳がせた先で、Aが読んでいた本が目に止まった

「…どんな本読んでるんだ…？」

A「ん、これ？…ラブストーリーだよ」

そっと本に触れながら悲しそうに微笑むから、少し焦る

Aにそういう顔をされると、なんだか胸がざわつくんだ

「悲しい話…なのか？」

A「まだ半分しか読んでないから分からないけど…ハッピーエンドではないかもって思ってる」