11話 ページ11
「で、合歓。急に何の用だ?…家に来るなんて珍しい。」
「何の用ってね〜!お兄ちゃんの家に私と同じくらいの歳の女の子が居たら気になっちゃうでしょ!」
左馬刻さんは私達の会話が終わったのを見ると、合歓さんに話しかけた。
合歓さんは頬を膨らませて、軽く左馬刻さんに抗議する。すると突然合歓さんは私の方へ振り返って笑顔で言った。
「お兄ちゃん、今から私とAちゃんでお出かけしてくるね!」
そう言うと合歓さんは私の手を引いて、玄関へと向かった。合歓さんの動きに合わせてふわりと柔らかな香りが私の鼻腔をくすぐる。
左馬刻さんはというと、合歓さんの勝手にしろという感じで壁にもたれかかっていた。
「…急に連れ出してごめんね…?お兄ちゃんが女の子がいること教えてくるなんて珍しくて…。もっとAちゃんのこと知りたいなぁって思って…」
合歓さんはそういうと、少し気まずそうに目線を逸らして苦笑いした。透けるように白い頬が淡い赤色に染まっている。
「…って言っても、特に行くところとか決めてないんだよなぁ…。Aちゃんは行ってみたいところとかあるんかな?」
行ってみたいところ…
歳の近い女の子と2人で出かけるなんてほとんど初めてだった。
学校が終わったらすぐに家に帰らないとお父さんに殴られるし、学校でも私は父子家庭だ、汚い、虐待だなどとなにかと理由をつけられて避けられたりいじめられたりしていた。
正直、友達なんていなかった。
私が黙り込んでいると、合歓さんは心配そうに私の表情を伺う。
「…もしかして嫌だったかな…、ごめんね…?」
『あっ、いえっ…そうじゃなくて!えっと…、女の子と一緒に出かけるなんて、ほとんど初めてで…あ……』
私がしどろもどろになりながら言葉を紡ぐと、合歓さんは驚いたように大きな瞳を見開いた。
高校生にもなって女の子と出かけたことがないなんて聞いたら驚くだろうな、引かれちゃったかななどと、悲観的な思考回路が脳を埋め尽くす。
「…そうだったんだね、…それじゃあさ、今まで遊べなかった分、これから私とたくさん遊んだり出かけようよ!」
『……ありが、とうございます。』
私は笑った。
きっとぎこちない笑顔だったと思う。
けど、合歓さんは私の笑顔に答えるように花のように眩しく明るい笑顔で微笑み返してくれた。
なぜか、泣いてしまいそうだった。
・*:..。o○☼*゚・*:..
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夕妃(プロフ) - Thistle*さん» コメントありがとうございます。合歓ちゃん可愛く書けるようにがんばります(*^^*) (2019年3月29日 17時) (レス) id: 9a4bb61595 (このIDを非表示/違反報告)
Thistle* - ねむちゃん可愛い(#´∀`) (2019年3月21日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花野 | 作成日時:2019年1月19日 0時