２ ※ヒロイン視点 ページ4
「じゃあね」
「また明日な」
そういって、明日も二人で士郎くんを待とうと、約束をして豹牙と別れて私は帰路についた
(そっかぁ……やっぱり好きな人いるんだなぁ)
中学に上がってからずっと、モヤモヤしていた事があった。
それは豹牙の事
やっぱりスポーツしている男子は魅力的なのか、それとも単に豹牙がカッコいいからか何回も同級生の女の子たちが噂しているのを耳に挟んだことがある。その度に毎回私の名前も出るわけで、それはまあ正直なところ満更でもない。だって、私は豹牙のことが好きだから
だから自分が、彼と付き合っているように見える。そんな、他の子たちとは違う特別な存在であることは本当に嬉しかった。でも、直接尋ねられる度に嘘をつくわけにもいかず「ただ付き合いが長いだけで、そんなんじゃないよ」と笑って返す。その自分の言葉がいちいち胸に突き刺さってきた、笑うのも少し辛かった。
それと同時に「豹牙は、どう思っているのかなぁ」と彼の気持ちが気になって仕方がなかった
(聞いたら聞いたで、どっちの答えが返ってきても複雑なのに……
なんで聞いちゃったかなぁ……)
いたらいたで誰か気になる、いないと言われればそれは自分“も”意識されてない、そういうことになる。
(そういえば、豹牙の好みとか聞いたことないや……片想い拗らせてるなら普通聞くでしょ私のバカ……！)
「はぁ……」
自分を責めたところで現実が変わるわけでもなく、ただただ虚しい気持ちと誰かも知らない豹牙の想い人に対しての嫉妬心が溢れてきて溜め息になってこぼれ出した
もしも、自分……だったら？
そんな考えが一瞬頭をよぎるけど、生憎そんな余裕もなければ、そもそも私はそんなに自分に自信を持っていないから、そんな都合のいい考えはすぐに頭の中からかき消した
(……多分可愛い子なんだろうな
聞かなきゃよかった)
後悔と一緒になって溢れそうになる涙をこらえて、歯を食いしばって重い足を動かした
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作者名：卯月龍 | 作成日時：2017年8月21日 4時
