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「風邪ひくよ。」
そういってマフラーをかけてくれたのは彼の幼馴染でありサッカー部のマネージャーである日向早依。
「試合、出れなくなっても知らないからね？」
｢大丈夫だよ……なんでここに｣
諭すように言う早依に面白くないのと、なんだか照れ臭いのとで素っ気なく雪村が返すも気にしていない様子で早依は笑顔で続けた
「この寒いのに豹牙、士郎くんのこと待ってるんじゃないかなあって思って、当たりでしょ」
「あぁ」
「私も一緒に待っていい？」
「いいけど・・・」
「けど？」
ひっかかることがあるような雪村の顔を早依が覗きこむと
「俺にマフラー渡して、お前は寒くないのかよ」
早依は自分のマフラーを貸してくれたのだろう、自分はマフラーを着けていない
「大丈夫！！だって私より豹牙が風邪引いた方が大変でしょ？選手に風邪引かせるわけにはいか……っくしっ!!!!!」
「思いっきりくしゃみしておいてどこが大丈夫だよ……ハァ……」
「手袋はしてるから大丈夫、セーフ！」
「セーフ……って何がだよ」
「温かさ？」
「意味わかんね」
そんな他愛もない話をしているうちに時間は結構経っていた、一人で寒空のした待つよりも二人で何でもないような会話をしながら待つ方が楽しく、そして時間が過ぎるのは早かった。少し話し込んだところで早依が少し聞きにくそうに話題をふってきた
「ねえ、豹牙は……好きな人、とかいる？」
「っ、な何だよ急に……！」
「今日クラスの子に聞かれたんだ
『雪村くんってかっこいいよね〜早依ちゃん付き合ってるってほんと？羨ましいな〜！』
って。よかったね女の子にモテて」
「思ってないだろ、大体なんでそんな話になってるんだよ…」
少し機嫌が悪そうに言う早依にツッコミを入れつつ照れ隠しに「なんでお前と…」と付け足すと「ごめんね、私なんかと嫌だよね」と今度は寂しそうに早依が呟くものだから慌てて「そういう意味じゃ……！」と否定すると、早依はパッと顔を上げて「で、どうなの？いるの？」と尋ねてきた
「そっそりゃあ、中学生にもなれば当然だろ……」
「だよね」
「そ、そういうお前こそ、どうなんだよ」
照れ隠しに少しムキになって答ると、落ち着いた様子で返され慌てて話題を振り返すと早依は足元におかれたサッカーボールを手に取リジットそれを見つめながら静かに「いるよ。私も」とだけ返した
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作者名：卯月龍 | 作成日時：2017年8月21日 4時
