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episode358 ページ8

ちらりと彩織ちゃんを見ると、いつものように呆れたような顔をしていた。


「Aは優しすぎるからさ…。たくさん我慢して泣いちゃうこともあるかもしれない。
だから、Aにはいつも、笑ってて欲しいから」

「優しすぎるのはどっちよ。
…本当お人好し」

「ありがとう」

「褒めてないけど」

「ええっ」


彩織ちゃんは


「なかじんが告白しないのはなんだかんだで失恋を怖がってだと思ってたけど
違ったのね」


本当、似たもの同士。
なんて言いながら立ち上がった。


「ねぇなかじん。私お腹空いた」

「あ、本当?」

「そんな話どうでも良いから早く朝ごはんにしよう」

「ど、どうでも良いって彩織ちゃんが…」








「…だからその今にも泣きそうな顔早くどうにかして私に朝ごはん作ってよ」


俺は情けない気持ちでいっぱいになる。


「てか、もうボロボロじゃん。泣きすぎ」

「これ…汗……」

「へぇ、中島くんは寝起き早々床に座ってぼんやりしてるだけでそんなに汗かくんですかぁ」


彩織ちゃんはさっさとキッチンに行く。
ニヤニヤしながら発しているであろう意地悪な声を無視して
ソファの上に眠る二人に目をやる。

深瀬の肩に、頭を預けるA。


その、さらさらな黒い髪。
思わず手を伸ばして、髪を
頭を、撫でた。


「A……」

「ん…」


まだ夢の中のAは
くすぐったそうに少し顔をしかめる。


「A………

…好き」


俺は指先で
艶のある綺麗な黒髪を一房つかんでそっと
くちづけた。


恋人として、Aに触れる事は出来ないから。
だから、こうして…。



















「A…好きになって、

……ごめんね」









俺は、キッチンにいる彩織ちゃんの元へ急いだ。

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真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - 抹茶好きの茉莉花さん» 茉莉花さん、おひさしぶりです!いつも読んでいただきありがとうございます!まだまだ終わる気配もありませんが、御付き合いいだけると嬉しいです!登場人物が増え、混乱するかもしれませんが、すみません。 (2016年9月25日 21時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
抹茶好きの茉莉花(プロフ) - 前回茉莉花という名前でコメントした者です。ピエロの涙が更新される度に楽しく読ませていただいてます(*^^*)また新たな登場人物が出てきてドキドキしてます…。これからも更新頑張ってください。応援してます! (2016年9月24日 14時) (レス) id: aa09b11676 (このIDを非表示/違反報告)
真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - いちごさん» お久しぶりです!最近いちごさんがいらっしゃらないので、お忙しいのかなー、なんて思ってました。短くまとめることが出来ずにだらだら書いてしまっているだけなので、そんな風に言っていただけて嬉しいです!これからもたまにコメントいただけると嬉しいです! (2016年9月20日 20時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
いちご - お久しぶりです。行事が重なったり、夏休みがハードスケジュールでなかなかこちらに来ることができませんでした。今やっと7が読み終わり8を読み始めたところです。長く続けられるということはすごいことだと思います。これからも楽しみに読みますね。 (2016年9月20日 17時) (レス) id: 318aaa198e (このIDを非表示/違反報告)
真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - ニカちゃん大好きさん» いつもコメントありがとうございます!やっと深瀬さんが動き出そうとしています、あたたかく見守ってあげてください……(笑) (2016年9月14日 20時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真冬のひまわり | 作成日時:2016年8月15日 9時

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