episode391 ページ41
だったら、Aに守られたなら
その何倍も、何十倍も
大切なAを守りたいと思った。
俺は、改めてあの時のことを思い出す。
俺も、Aも
まだ何も知らない、純粋な少年少女で
怖いものなんて何もなくて
好きなものは好きと
真っ直ぐに、ただひとつの意味を持つ好きを追い求めて、好きと伝えられた。
何の迷いもなく、ありがとうと、目の前の女の子を抱きしめることが出来た。
たくさんのことを知ると、人は臆病になるらしい。
この間、久しぶりに、Aと家で二人きりになったとき、俺は思わずAを抱きしめた。
別に、告白してしまおうとか、Aにキスがしたいだとか、Aを壊してしまいたいだとか、そんな邪な気持ちはなかったけど
ただただ愛おしくて、そして
隣の部屋で彩織ちゃんとAが話していたことを聞いて
ああ、いよいよ俺はもう
Aを諦めなくちゃいけないんだと思うと苦しくて苦しくて堪らなくて
気づけばAを抱きしめていた。
そして、罪悪感を抱いた。
俺はもう、Aを諦めなくちゃいけないんだ。離れなくちゃ、遠ざからなくちゃいけないんだ。
どうせ、結ばれることは無いんだから、ちょっとくらい良いだろう?これぐらい。
そう、思っているのに
深瀬への罪悪感はずっと消えなかった。苦しかった。
深瀬はAが好きなのに
Aも深瀬が好きなのに
俺は、Aを抱きしめていて
これじゃあまるで、俺が抜け駆けしているようだと、俺は、世界で一番の罪を犯した罪人のような気持ちになった。
何の迷いもなく、
Aを抱きしめることが出来た、あの頃が
どうしようもなく、愛おしくなった。
「…なかじん」
ふと見ると、彩織ちゃんまで
さっきの深瀬みたいな、真剣な顔をしていた。
「ど、どうしたの?深瀬といい、彩織ちゃんといい、ちょっと気味悪いな」
「わ、私…実は、さ」
「…うん?」
「なかじんに」
「うん」
・
「伝えたいことがあるの」
彩織ちゃんが、やけに思いつめた顔をして、ごくりと唾を飲んだ。
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真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - 抹茶好きの茉莉花さん» 茉莉花さん、おひさしぶりです!いつも読んでいただきありがとうございます!まだまだ終わる気配もありませんが、御付き合いいだけると嬉しいです!登場人物が増え、混乱するかもしれませんが、すみません。 (2016年9月25日 21時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
抹茶好きの茉莉花(プロフ) - 前回茉莉花という名前でコメントした者です。ピエロの涙が更新される度に楽しく読ませていただいてます(*^^*)また新たな登場人物が出てきてドキドキしてます…。これからも更新頑張ってください。応援してます! (2016年9月24日 14時) (レス) id: aa09b11676 (このIDを非表示/違反報告)
真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - いちごさん» お久しぶりです!最近いちごさんがいらっしゃらないので、お忙しいのかなー、なんて思ってました。短くまとめることが出来ずにだらだら書いてしまっているだけなので、そんな風に言っていただけて嬉しいです!これからもたまにコメントいただけると嬉しいです! (2016年9月20日 20時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
いちご - お久しぶりです。行事が重なったり、夏休みがハードスケジュールでなかなかこちらに来ることができませんでした。今やっと7が読み終わり8を読み始めたところです。長く続けられるということはすごいことだと思います。これからも楽しみに読みますね。 (2016年9月20日 17時) (レス) id: 318aaa198e (このIDを非表示/違反報告)
真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - ニカちゃん大好きさん» いつもコメントありがとうございます!やっと深瀬さんが動き出そうとしています、あたたかく見守ってあげてください……(笑) (2016年9月14日 20時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真冬のひまわり | 作成日時:2016年8月15日 9時