episode389 ページ39
だって、ぼくはバケモノなんでしょう?
それをAにしられたら、ぼくは嫌われちゃう。
みんなから嫌われたぼくは、Aにも嫌われちゃう。
お願い、嫌わないで。
ごめんね、こんなぼくだけど
どうか、嫌わないでほしいんだ。
だってぼくは
Aがすきだから。
ぎゅっと手をにぎりしめてた。
・
「…どうしてそんなこと言うの」
いつも大人しくて、物静かな
Aの少し低い声がした。
ぼくも、その子もびっくりして、Aを見ていた。
「しんいちは怖くなんてないよ。わたしが泣いてたらいつもどうしたの、って言って、はげましてくれるもん。ずっと守ってあげるって言ってくれたもん。しんいちは優しいもん!だから…」
最後の方は震えてて
となりを見ると、Aはぎゅって唇をかんで、手も同じくらい強くにぎりしめていた。
「そんなひどいこと言わないで」
「でも…」
「そんなひどいこと言う人わたし嫌い!」
「っ…」
その子は、泣きそうな顔をしてた。
しんいち、行こう。
って声がしたと思えば、手をつかまれて、ぼくたちは走っていた。ガタゴト、教科書がランドセルの中で揺れてうるさかった。
家の前につくと、Aがぼくの手を離す。
「わたしね、しんいちの笑った顔、好きだよ」
少し、泣きそうで
だけど、おおきくて、まっすぐで
きれいな目が、ぼくを見る。
「あのね、しんいちのそれ、みんなが怖いって言ってもね、わたしはすき。だって、本当に楽しかったり、うれしかったりして、しんいちが笑ったら、口あけて笑ったら、それが見えるから。本当ににしんいちがうれしいんだってわかるから」
すき、って言う、やさしいこえがぐるぐるぼくの頭を回る。
「すき?本当?」
「うん」
「ぼく、笑ってもいい?」
「わたしはしんいちの笑った顔がすき。しんいちには笑っててほしいもん」
ぼくは、ぎゅってAに抱きつく。
ぼくよりほんの少しちいさなA。
びっくりした声を出す。
ぼくは離さない。
ぎゅうってもっともっと強くAに抱きつく。
怖かった。Aに嫌われたらどうしようって。
だけど、嫌わないでいてくれたから
うれしくて。
ぼくは、心がすっと軽くなって
これからは、ぼくがもっと強くなって、Aを守ろうって。笑顔にしようって
思った。
「A、ありがとう」
Aは、どういたしまして、って笑った。
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真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - 抹茶好きの茉莉花さん» 茉莉花さん、おひさしぶりです!いつも読んでいただきありがとうございます!まだまだ終わる気配もありませんが、御付き合いいだけると嬉しいです!登場人物が増え、混乱するかもしれませんが、すみません。 (2016年9月25日 21時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
抹茶好きの茉莉花(プロフ) - 前回茉莉花という名前でコメントした者です。ピエロの涙が更新される度に楽しく読ませていただいてます(*^^*)また新たな登場人物が出てきてドキドキしてます…。これからも更新頑張ってください。応援してます! (2016年9月24日 14時) (レス) id: aa09b11676 (このIDを非表示/違反報告)
真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - いちごさん» お久しぶりです!最近いちごさんがいらっしゃらないので、お忙しいのかなー、なんて思ってました。短くまとめることが出来ずにだらだら書いてしまっているだけなので、そんな風に言っていただけて嬉しいです!これからもたまにコメントいただけると嬉しいです! (2016年9月20日 20時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
いちご - お久しぶりです。行事が重なったり、夏休みがハードスケジュールでなかなかこちらに来ることができませんでした。今やっと7が読み終わり8を読み始めたところです。長く続けられるということはすごいことだと思います。これからも楽しみに読みますね。 (2016年9月20日 17時) (レス) id: 318aaa198e (このIDを非表示/違反報告)
真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - ニカちゃん大好きさん» いつもコメントありがとうございます!やっと深瀬さんが動き出そうとしています、あたたかく見守ってあげてください……(笑) (2016年9月14日 20時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真冬のひまわり | 作成日時:2016年8月15日 9時