episode388 ページ38
「あー!ナカジンじゃん」
校舎の外に出て、グラウンドの横を通って、Aと帰っていると、そんな声がした。
ぼくを嫌いなあの子だった。
その子はボールを横で持って、ぼくを指さして言う。
「ナカジン、山田と一緒に帰るのかよ」
「う、うん…」
「へぇー!お前ら付き合ってんのー?」
ぼくの顔が、一瞬で赤くなった。鏡なんて見てないけど、わかる。絶対僕の顔は今、赤い。夕焼け色よりも。
「えっ?!なんで??」
慌てたように言うA。
「ち、違うよ!付き合ってないよ!」
こんなふうに、みんなにカン違いされたらぼく、Aに嫌われちゃう。そう思って、ぼくは必死に違うよって言った。
「うそだ!お前ら仲良いじゃん!」
ぼくを指さしたまま、その子は怖い顔をした。
「仲良い、けど…」
「山田さぁ…」
気づけばその子はすぐそばまで来ていた。
その子は、Aを見下ろすようにして立つ。
「山田、ナカジンなんてやめといた方がいいぜー?知ってる?ナカジンがなんて呼ばれてるか」
しらない、ってふるふると首を振る。
やめて。やめて。心の中のぼくは、今にも泣きそうになりながら、でも、言えなかった。
「ナカジンね、きゅーけつきって呼ばれてんの!」
「きゅーけつき?」
「なんかね、人の血すって殺しちゃうバケモノだよ。ほら、ナカジン、キバ生えてるでしょ。こわ〜」
ぼくがそんなふうに影で呼ばれてるのはなんとなくしってた。たぶん、ぼくを嫌いなこの子が言い出したんだ。ぼくのことが嫌いだから。別にこの子だけじゃない。ぼくは、人と違ってそこがちょっと変だから、
変だね、とか怖いね、とか言われたことは何回かある。ちいさいころから、何回が言われたことがあって、それが嫌で、笑うのが少しだけ苦手で。
だけど
それをAにだけはしられたくなかった。
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真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - 抹茶好きの茉莉花さん» 茉莉花さん、おひさしぶりです!いつも読んでいただきありがとうございます!まだまだ終わる気配もありませんが、御付き合いいだけると嬉しいです!登場人物が増え、混乱するかもしれませんが、すみません。 (2016年9月25日 21時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
抹茶好きの茉莉花(プロフ) - 前回茉莉花という名前でコメントした者です。ピエロの涙が更新される度に楽しく読ませていただいてます(*^^*)また新たな登場人物が出てきてドキドキしてます…。これからも更新頑張ってください。応援してます! (2016年9月24日 14時) (レス) id: aa09b11676 (このIDを非表示/違反報告)
真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - いちごさん» お久しぶりです!最近いちごさんがいらっしゃらないので、お忙しいのかなー、なんて思ってました。短くまとめることが出来ずにだらだら書いてしまっているだけなので、そんな風に言っていただけて嬉しいです!これからもたまにコメントいただけると嬉しいです! (2016年9月20日 20時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
いちご - お久しぶりです。行事が重なったり、夏休みがハードスケジュールでなかなかこちらに来ることができませんでした。今やっと7が読み終わり8を読み始めたところです。長く続けられるということはすごいことだと思います。これからも楽しみに読みますね。 (2016年9月20日 17時) (レス) id: 318aaa198e (このIDを非表示/違反報告)
真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - ニカちゃん大好きさん» いつもコメントありがとうございます!やっと深瀬さんが動き出そうとしています、あたたかく見守ってあげてください……(笑) (2016年9月14日 20時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真冬のひまわり | 作成日時:2016年8月15日 9時