ピエロの涙8

episode381 ページ31

莉子は最近化粧がちょっとだけ薄くなって、それまたかわいい。メイクの仕方を少し変えてみたんだ、と言ってた。莉子は元が良いから何をしてもかわいい。


「Aさー、今度遊ばない？」

「え、良いのー？！」


莉子は変わらず私と仲良くしてくれている。
周りからはあのおとなしい山田と宮本が、なんて言われるけど、結構莉子と私は趣味が合うし、一緒にいると楽しい。


「うん、ついでといっちゃあれだけどね、私の耳にピアス開けて欲しい」

「はぁ？！嫌だよそんなの！」

「そう言わずにさー」

「やだやだやだ！頼むならみんなに頼めば良いじゃない！」


みんなとは、莉子がいつも行動を共にするメンバーだ。今日は珍しく、莉子の準備が遅すぎて、そのメンバーが先に行ってしまったらしい。莉子はサバサバしたところがあるから、そんなことがあっても、平然と、えー、先行っちゃったのー？なんて言う人だ。
莉子は相変わらず派手な子。どんなに教師に注意されても、それが校則違反だろうと、ピアスの穴は減ることもなく、増える増える。
私は、そんな校則違反を助長するようなことはしたくないの。うん。


「いや、あの人たちバイト忙しいみたいで。付き合い悪いのよ〜、その点Aはバイトしてないから誘いやすい！」

「何〜？そのまるで私が常に暇人みたいな言い方ー！」

「ごめんごめんて。違うの？」

「否定はしない〜」


くすくす笑いながら莉子は
お願いだよー、今度ご飯奢るからさー、なんて言ってきて
私は嫌だ嫌だと首を振る。


『…宮本、お前、そんなにピアス開けてぇなら俺が開けてやろうか』


おもむろに慧が口を開いた。

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