episode361 ページ11
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'目を覚ますと、いつかの保健室での時のように、手があたたかくて
手元に視線を落とすと、しっかりと、大きな手が私の手を包んでいた。
ふと横を見ると
「っわ…」
まつげの長い、女の子みたいな顔があった。
女子の私が嫉妬するくらい真っ白な肌。
作り物のようになめらかな頬は朝の柔らかな光に照らされて、そのもともとの色白さを一層目立たせる。
かすかに開いている唇は淡く、うっすらと桃色に色づいている。
まるで女の子のように綺麗な顔だから、自分が女子を名乗っているのが恥ずかしくなるほど。
童話に出てくる王子様たちは、こんなふうにお姫様の寝顔に見惚れていたのかな。
…なんてことを思った事は絶対に本人に言えないけど。
世界が二人だけみたいで
時間が止まったような中、絶対に揺るがない
だけど
儚くていつまでも見ていられそうなくらい綺麗で。
大切なものは失いたくないから、思わずぎゅっと繋がれたままの手を握る。
すると、ぎゅっと握り返されて。
えっ、寝てる?えっ?と私が動揺していると、微かに唇が動いて
『……起きてるんだけど』
少し申し訳なさそうに
慧が目を開いた。
寝ぼけているのか、とろんとした目がぼんやりと
あたりをふらふらと見つめてから
少しずつ、焦点が合って、私の姿をとらえる。
「えっ、いつから……」
『最初から』
「えー…」
『…見すぎ』
恥ずかしさでいっぱいになって
「言ってよ、もうー!」
と慧の胸を押して駄々をこねると
朝特有の掠れた声ではは、と笑う。
『めっちゃ緊張した。心臓バクバクいってる』
って目を細めて
優しい顔して言うから。
そうやって少し静かに低く喋る声も
朝が苦手で掠れた声も
好きだなぁ、ってまた感じてしまう。
最近、好きだなぁしか言ってない。
それくらい、慧は私の中で大きな存在。
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真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - 抹茶好きの茉莉花さん» 茉莉花さん、おひさしぶりです!いつも読んでいただきありがとうございます!まだまだ終わる気配もありませんが、御付き合いいだけると嬉しいです!登場人物が増え、混乱するかもしれませんが、すみません。 (2016年9月25日 21時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
抹茶好きの茉莉花(プロフ) - 前回茉莉花という名前でコメントした者です。ピエロの涙が更新される度に楽しく読ませていただいてます(*^^*)また新たな登場人物が出てきてドキドキしてます…。これからも更新頑張ってください。応援してます! (2016年9月24日 14時) (レス) id: aa09b11676 (このIDを非表示/違反報告)
真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - いちごさん» お久しぶりです!最近いちごさんがいらっしゃらないので、お忙しいのかなー、なんて思ってました。短くまとめることが出来ずにだらだら書いてしまっているだけなので、そんな風に言っていただけて嬉しいです!これからもたまにコメントいただけると嬉しいです! (2016年9月20日 20時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
いちご - お久しぶりです。行事が重なったり、夏休みがハードスケジュールでなかなかこちらに来ることができませんでした。今やっと7が読み終わり8を読み始めたところです。長く続けられるということはすごいことだと思います。これからも楽しみに読みますね。 (2016年9月20日 17時) (レス) id: 318aaa198e (このIDを非表示/違反報告)
真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - ニカちゃん大好きさん» いつもコメントありがとうございます!やっと深瀬さんが動き出そうとしています、あたたかく見守ってあげてください……(笑) (2016年9月14日 20時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真冬のひまわり | 作成日時:2016年8月15日 9時