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私に父親の記憶はない。
ついでに言うと、母親の記憶もない。
人はこんな私を可哀想と哀れむかもしれないけれど、実は、私の周りにはそんな人間ばかりなのでさほど気にならない。
と言うのも
たとえば有沙。
有沙は、小さな頃に暴力を振るう父親と、金遣いの荒い母親が離婚した。
ある子は、交通事故で両親を亡くした。
そんな子供ばかりの場所が、私の帰る場所。
そう、私は、孤児院で生活をしている。
ちなみに、わざわざ話すほどのことでもないが、私の物語としては
私の母だった人は、16で私をお腹に宿した。
周りからは非難され、白い目で見られ、反対されたらしい。
中絶しろともいわれたらしい。
まあ、当然と言えば当然だが。
それでも母は、生みたいと周囲の反対を押し切り、私を生もうとした。
そんななか、私の父になるはずだった男が失踪。
病院に行く金もなく、どうしようもなくなった母は、家でたった一人で私を生んで
この孤児院に「A」と書かれた紙を持った私を預けて、姿を消したそうだ。
生まれた自分の子供にこの名前を付けて、普通に結婚して、幸せに暮らしたいと思っていたのかもしれない。
どうしても、赤ん坊を独りで育てていくことは無理だったんだろう。孤児院を去るその背中は泣いていたという。
詳しくは知らないけれど、そのことが関係しているのかは別として、母は衰弱していき、若くして命を落としたそうだ。父になるはずだった男には、会いたいとすら思わない。
こんな感じで
世で言う「可哀想な子供」たちがここには私を含めて12人。
特に筆舌に値しないので、他の子供たちの紹介は割愛することにする。
私は、こんな場所で、色のない毎日を送る。
高校に行って、誰とも話さず、
孤児院に帰ると、有沙が待ち受けていて有沙のストレス発散の道具にされる。
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ひゅう - めっちゃ面白いです!! (2017年7月6日 23時) (レス) id: 94a9de8573 (このIDを非表示/違反報告)
真冬のひまわり(氷華)(プロフ) - ふかすずさん» ありがとうございます!更新が遅くて申し訳ありません。少しずつですが、頑張ります! (2017年2月25日 11時) (レス) id: 8ad18557ee (このIDを非表示/違反報告)
ふかすず(プロフ) - 面白いですね!更新頑張ってくださいね♪ (2016年9月2日 16時) (レス) id: 837a5f48ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真冬のひまわり | 作成日時:2016年8月29日 21時