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何もしなくて良いと言われましたが、本当に何もしないでいるわけにもいきません。朝食の後にフランキッスにお願いして、簡単な仕事を任せてもらいました。鶏の羽むしり、中庭の草むしり、廊下の掃除……それらをすると時間はあっという間に過ぎ、もう時刻は八時半。

 二階のイベントフロアへ行きます。質の良い木でできた机と、丁寧な細工のされた椅子がいくつか並んでいます。見ると、既にどなたかいらっしゃりました。

「……おや、もう来たのだね」

「はい、奥様」

 椅子の一つに優雅に腰かけるヘムロック様。長く伸びる銀色の髪が、窓からの光に反射しています。

「私の娘達が皆、オリヴィアを自分の従者にしたがって……ああ、もう来てしまったね」

 ヘムロック様がそうおっしゃるので振り向いてみますと、そこには若い女性がいました。十代後半か、二十代程度に見えます。一風変わった白い装束に身を包む、黒髪黒目の女性です。腰本まであるストレートヘアーが特徴的。

 あの方がお嬢様、でしょうか。それにしては……大人びすぎているような。父親であるチューベ様より少し年下というくらいにしか見えません。あるいは、チューベ様が若々しすぎるのか。

「早いねアメーリア」

「はい、お母様。こちらの子が新しく来たという、あの……?」

 お嬢様……アメーリア様はこちらを覗き込んで、そしてにっこりと笑ってくださいます。

「はじめまして、あなたの事は聞いているわオリヴィア。私はアメーリア・ローアと申します。ローア家長女にして次期当主よ。よろしくね」

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年5月1日 21時

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