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『六月二十日』
『ここのお城にはじめて来た時はちょっと驚いちゃった。使用人が皆女の人だったの』
『でもそうよね、ここにいるのは城主様以外皆女の人だもの。お母さんのためにもたくさん働いてお金を送らないと』
『六月三十一日』
『城主様が情緒不安定だって噂は本当みたい。うっかりお茶を溢したエミーに怒鳴り散らしてたんだもの』
『エミーはすごく怯えてたっけ、ごめんなさい!って悲鳴がしたわ。私も失敗してしまわないよう気を付けよう』
『七月十二日』
『イングリッドがこんな噂をしてた。城主様は旧館で闇の魔法の研究をしているんだって』
『まさか、そんなわけないわよ。旧館は今はただの物置。きっとガラクタを見間違えたんだわ』
『七月二十三日』
『お母さんのスープが飲みたい。ガーリック、ハーブ、ポテト、ベーコンのミルクスープ』
『頑張って作るかぁ』
『八月四日』
『エミーを最近見かけない。エミーの部屋に行ったんだけど、誰もいなくなっていた。メイド長に聞くと、エミーは退職したって。きっと嘘だわ』
『だってイングリッドが、エミーが旧館へ連れていかれるのを見たって言ってたの』
『明日は旧館へ行ってみようと思う』
『八月五日』
『助けて、ここに来るんじゃなかった』
『イングリッドは本当の事を言ってた』
『城主様に見られた』
『死にたくない』
『死にたくない』
『誰か助けて』
『逃げられない』
『私はどうしたら良いの』
『お母さんのところへ帰りたい』
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