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「ここが使用人に割り当てられている部屋よ。基本的には皆ここで寝泊まりしていて、城を出る事はないわ。食糧とか必要なものは定期的に送られてくるの」
フランキッスに案内されたのは、召使い用の通路を歩いた先にある建物の一室でした。どうやらここは寮のようです。
部屋の内装は華美ではありませんでしたが、使用人に与えるには過ぎたもののように思えます。大きな机に椅子、本棚にはこの部屋の前の住人のものらしい本がたくさん。ベッドは一つしかありません。一人部屋のようです。
全体的に整っている部屋です。家具の感じというか、言葉にはしがたいのですが……。
「今日はここで休んでね!十二時から昼食、六時から夕食があるよ。時間になったら呼びに来るから、まあ、ゆっくりしてってよ」
「ありがとうございます、フランキッス」
「だからキスカって呼んでよ……まあいっか、じゃあね!」
フランキッスが部屋から出て、残されたのは私とミザリーだけ。ミザリーは少し疲れているらしく、机の上にとまると動かなくなりました。
その間、私は部屋を見てみる事にします。どうやらこの部屋の家具は長い年月丁寧に扱われてきたかのようで、結構年季が入っています。アンティークとして売れそう。
本棚を見てみます。童話や詩集、恋愛小説……この部屋の前の住人は女性だったのでしょうか?しばらく見て飽きてきたので、本棚を離れようとしたその時でした。
「……?」
本と本の隙間に、何かあります。なんでしょうか、これ。紙切れ?何か千切られたような痕跡があります。興味が惹かれたので、少し読んでみました。
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