ある従者のありふれた結末 (ページ25)

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そこにあったのは、美しい城でした。純白の煉瓦の壁面と、黒い屋根。森の中に突如として現れたその城は、絵本の中でも見られないような魅力があります。

　庭園はよく手入れがされているようで、美しい薔薇の花が咲き乱れています。ウィスタリアの蔦が城の壁につたって生えていて、そこからたくさんのウィスタリアの房が垂れ下がっています。他にも、種類の分からない、けれどとても美しく芳しい花がたくさん。

　私が想像していたのは、もっとこう、邪悪でおどろおどろしい場所だったのですが……優美で洗練されたその庭園は、不気味さよりもメルヘンさがあります。

　目を真ん丸にしていると、庭園に誰か、女の子がいるのが見えました。地味な服を着ていますし、どうやらここの使用人、のようです。

　女の子はこちらを見ると、てくてくと歩み寄ってきました。

「こんにちは、あなたがオリヴィア・ゴドディン？うわぁ、小さい。八歳って本当だったんだ」

「まあ、失礼な方ですね。ええ、そうよ。私がオリヴィア。ゴドディン家の次女、オリヴィアです。あなたの名前は何かしら？」

　あまりに腹が立ったものだからそう嫌味っぽく返すと、女の子は少しはっとして、そして申し訳なさそうに頭を垂れました。

「あたしはフランキッス。キスカと呼んでちょうだい。ヘムロック様の召使いよ。ごめんね、本当に驚いちゃって……八歳の子が来るなんて信じてなかったの。とりあえず、あなたが来たら案内するようにヘムロック様に言われてるの。ついてきて」

　その女の子……フランキッスはそう言い、私に来るよう言います。