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民宿に泊めさせていただきました。一人暮らしのお婆さんの経営する、小さな民宿です。垂れ下がってるガーリックやハーブは、どうやら香辛料の他にも魔除けとして使われているのだそう。
「オリヴィアちゃん、こんなところに一人でお使いなんて、偉いねぇ……ほら、料理ができたからお食べなさい。たくさんあるから、おかわりもしてね」
「ありがとうございます」
提供されたのは、シチュー、でしょうか。ガーリック、ハーブ、ポテト、ベーコンの入ったミルクスープです。よくすり潰されたポテトのとろみが抜群の舌触り。固めのパンにワインも出されました。まだ未成年なのでワインは断りました。
「誰かが来るなんて久々だよ。娘も都会に行っちゃってねぇ、もうここ五年も顔を出してくれなくて……」
寂しそうなお婆さんの言葉です。うーん、五年も顔を出さないなんて。故郷なんだから、帰ってきたらよろしいでしょうに。私は相槌を打ちながら、ふと窓の外を眺めました。雨風はだいぶんおさまってきています。この調子なら、明日は晴れるでしょう。
お婆さんに挨拶をして、部屋に行きます。固いベッドが一つに、机と椅子が一つの、質素な部屋です。鏡もありましたが、曇っていてあまり使えません。
ミザリーをハンカチーフに乗せてあげてから、私はベッドに横たわります。彼は夕食にいただいたウィスタリアの花の蜜がいたく気に入ったようで、上機嫌。
私は彼のお喋りにうん、うんと相槌を打ち続けましたが、やがて眠くなってきたので、彼におやすみと言うと、彼は既に眠っているようでした。
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