ある従者のありふれた結末 (ページ20)

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「さあついた、ここがグリムの村だよお嬢ちゃん」

　雨風がだんだんと強くなって、やがてひどい暴風雨になる頃にようやくたどり着いたのは、小さな村でした。

　少し、というか、かなり古びた村です。失礼ですけれど、すごくボロボロというか、田舎というか……臭い匂いがします。これは家畜の匂いかしら、どこかで飼っているのかも？牛の鳴き声が遠くから聞こえますし。強い雨風があってなおこの匂いなら、普段はどれほど臭いのかしら？

　ミザリーが不機嫌そうにしています。くっさ！ひっどい匂いね、こんなところ早く出ましょうよ。とりあえず反応するのも面倒になったので無視します。

「ありがとうございます、御者様」

「良いんだよ、お嬢ちゃん……何もないところだけど、くつろいでおくれ。この村はね、わしの故郷なんだ。村の奴らは気難しいけど、皆良い奴だよ」

　御者のお爺さんはそう笑って、そして馬車をひいて来た道を戻って行きました。

　時刻は四時三十分頃。予想よりも少し早めに到着できました。本当なら村についた翌日にローア家の邸宅に向かう予定だったのですが、まだ明るいですし、ちょっとローア家邸宅のある黒い森の辺りを少し見てみましょう。

　村の遠くの方に見える森を見ます。黒い森、という名前の通り、遠くから見るとその森は黒く見えます。おそらく、葉っぱの色が濃いから、遠くから見るとそう見えるのかも。

　近付いて見てみようかと思いましたが、やはり雨風がひどいです。諦めて、明日行きましょう。