ある従者のありふれた結末 (ページ17)

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「そうだ、君に用事が一つあったんだ。後で部屋に行っても大丈夫かい？」

　それからしばらくお喋りを楽しみました。そして、部屋に戻ろうとしたその時、ロレッタ様は思い出したかのようにおっしゃいました。私に用事？何なのでしょうか。

「まさか、そんなわけにはいきません。私は待ちますので、ロレッタ様はどうぞ、食事を続けてください」

「そろそろ食後のデザートが来るから、それを食べたら行くよ。先に、私の部屋に君の使い魔を連れてきておいてくれるかな？私を待っているより、その方が効率が良いだろう？」

「使い魔、ですか？分かりました」

　使い魔を連れてこい、という点は少し奇妙でしたが、キャロヴェッタ家の方からの用件を断るわけにはまいりません。ロレッタ様にお辞儀をして、部屋に戻ります。

　私の使い魔は魔法生物で、名前はミザリー。私の手のひらよりも一回り大きいくらいの、青い蝶々のような姿をしています。この子は通常の蝶々とかけはなれた飛行距離と飛行速度を持っていて、お姉様方との文通の際にはこの子の力をよく借りていました。

　ミザリーは部屋の窓の縁にとまっていました。ゆっくりと優雅に羽ばたいています。

「ミザリー、おいで」

　声をかけると、ミザリーは私の頭にとまります。あたしを待たせるなんて、罪な人ね。彼はそう色っぽく囁いて、くすくす笑いました。

「ごめんね、ミザリー。君にちょっと会わせたい人がいるんだ」

　あたしに？良いわよ。でもつまらないヤツは嫌だからね。ミザリーは真っ赤な複眼でこちらを見据えながら、前足でその長い口をすりました。