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太陽がすっかり顔を出してしまう前に、ティ様は宿泊なさっていたお部屋に帰られてしまいました。
私はランプを部屋に戻し、朝食をとる事にします。このホテルはレストランも一緒に経営しているようでしたから。今日の朝食は塩漬けにされたマスをゼリーで固めたものです。ヴォルフの町の伝統料理の一つらしく、お味も悪くありません。他には薄くスライスされたライ麦のパン、大きなソーセージなどがあり、お腹いっぱいになれました。
食後のデザートにワインゼリーをいただいて、一息。
「あ、ロレッタ様!」
遠くにロレッタ様を見かけて、声をかけます。ロレッタ様はこちらを視認するとにっこり笑って、向かい側の席に座りました。
「おはようございます、ロレッタ様」
「おはようオリヴィアちゃん。今から朝ご飯かい?」
「いえ、もう食べ終えたところです。ここの料理って美味しいですね。特に塩漬けマスのゼリー寄せ。あの独特の生臭さが本当に素敵で」
「あの料理か。結構好き嫌いがわかれるらしいけど、オリヴィアちゃんも好きそうで何よりだよ。妹達は二人共あれが苦手だったから」
ロレッタ様はやれやれ、とおどけるように肩をすくめてみせました。
「それにしても、本当に一人なんだね」
「信じてなかったんですか?」
「いや、そういうわけではないけども」
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