轟兄の片割れ依存.【MHA】 (ページ8)

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愛情その七ページ8

「焦凍……？」

「兄貴、今日演習の時から様子おかしいよな」

「え？」

的確に的をえてる言葉にも喉が詰まった。
いや本当に詰まったわけではない。空気みたいな実体を持たない何かが、気道をせき止めるような、そんな感覚だ。

「焦凍の気のせいじゃ…」

「何年一緒だと思ってんだ」

「ハイ15年ですね」

「…15年か。長えな」

「……」

変なとこで天然発動してんじゃねえよ。
と、心の中でツッコミをしておいた。

「んで本題だ」

「ああ」

「もしかして兄貴、」

「うおっ、近」

隣合わせで歩いてはいたが、焦凍はじりじりと更にパーソナルスペースを詰めてきて本当に鼻先がつく位迫ってきた。
改めて見るとやっぱり顔整ってるな。まあ、ボクも同じ顔してるんだけど。

「……兄貴」

「近い、近い近い」

ｺﾂﾝ

「風邪引いてるのか？」

弟の威圧に焦っていたAは、そっと当たった額同士に拍子抜けした。

「………熱はねえな」

「いや、風邪引いてねえよアホ」

「う…頬抓るなよ、兄貴」

「うお！頬っぺた柔らか！ぷにぷに！」

ボクのさっきまでのハラハラを返せと言わんばかりに、弟の頬を抓った。
柔らかすぎるその頬肉をしばらく堪能していたが流石に怒られそうだったので慌てて離した。

「……ボクは大丈夫だよ焦凍。ありがとう」

「本当に？無理してねえよな？」

「んー…本当のこと言えば、
俺のただの“早とちり”だった…ってだけだ！だから気にすんな」

「そうか。良かった」

天然に合わせて鈍感も持ち合わせた弟の性格に心の底から感謝感激雨あられを送りまくった。

「よっし焦凍！帰りドーナツ屋寄るぞ！」

「兄貴、寄り道は駄目だって小学生の時に言われたろ」

「は！？もう高校生だし良くね！？つか真面目か！」

「…蕎麦屋なら考えてやってもいい」

「いや重いわそれは」

焦凍は優しさ故に意外と心配性で
でも昔はこんなに心配してくれはしなかった。
だから弟のこの態度がボクにとっては心温まる事の他でもない。むしろそれ以上か

「しょーと」

「ん？」

「お兄ちゃん、焦凍のこと大好きだよ」

「…っ、なんだよ急に」

ボク、今世界で一番物凄く幸せ者かもしれない。

「照れちゃってまあ！カワイイなぁ！」