轟兄の片割れ依存.【MHA】 (ページ15)

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愛情その十四ページ15

ポイッと捨てられるように、ボクは“ 何もない空 ”から出てきた。

「ちょっ、待っ」

もちろん重力にしたがって落ちるわけだが、
落ちていく先がまさかの

「水はだめだ……！」

水難を想定した大きな湖だった。

[ﾄﾞﾎﾞﾝｯ！]
と、水の中に落ちたボクは、
着水の衝撃で肺の中の空気がいっきに口から溢れてしまった。

「Aちゃん！」

すると、水中なのに誰かが名前を呼ぶ声。
刹那、体に何かが絡みつきすごい勢いで水から引き上げられたのだ。

「ッ、げほっ！げほ！」

「大丈夫？Aくん！」

「…緑谷？それに蛙吹に峰田まで…」

「うん！あのね、僕達みんなあのヴィランにここに無理矢理ワープさせられたみたい」

「やっぱりアイツの個性…“ ワープ系 ”か」

「そうだ、とは言いきれないけど……」

「とにかく。助けてくれてありがとう、蛙吹」

「梅雨ちゃんと呼んで Aちゃん」

「……梅雨ちゃん」

「どういたしましてよ」

梅雨ちゃんは、満足そうに笑う
とても可愛らしい笑顔に、緑谷たちが赤くなる。

「ところで焦凍は？どこにいる？」

「いいえ、ここに飛ばされたのは私たち４人だけよ」

「は？」

え？焦凍はこの場にいない？離れた？
焦凍？ああ、駄目だ焦凍と離れちゃダメだ焦凍焦凍焦凍しょうと──────

「焦凍…ッ」

「Aくん！」

緑谷に肩をつかまれ、ハッと我にかえる

「轟くんはきっと大丈夫だよ！
だから今は、他のみんなと合流することを考えよう！」

「みどりや……」

「大丈夫だって〜！お前達がいればすぐに合流できるって！」

「みねた……」

「だから落ち着いて。Aちゃん」

最後に梅雨ちゃんのセリフに頷く。
そうだな、今は生きてここを脱することだけを考えよう。

──────無事でいろよ、焦凍