轟兄の片割れ依存.【MHA】 (ページ13)

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愛情その十二ページ13

「お、広い」

「兄貴」

「おい！焦凍見ろよ、あそこ火あがって」

「兄貴！」

突然声を張り上げた弟に振り返る
弟は、顔を真っ赤にして唇を噛みしめながら、睨んでくる。
どうした？かわいいな

「んぁ？どうした？焦凍」

「………せよ…」

「ん？聞こえねえよ？」

「手！…離せよ……」

「あー…これ？」

焦凍の、手をつないでいた左手をすっと持ちあげると、案の定焦凍の顔は更に赤くなった。
わかりやすいなぁ、これもノートに書き込もう

「離せよ」

「んー…嫌だ」

「……ッチ」

あえて左手を掴んだのは、焦凍は左を使わないから。だから変な抵抗はしてこない。
作戦通りだ

「しょーと」

「………ンだよ？」

「今日も演習がんばろー…おー」

「お、おー…」

繋いだ手を、ぐーっと空に伸ばして“エイエイオー”のポーズだ。
焦凍ものってくれたから、すごく嬉しかった。

「おい…轟兄弟…」

「うわ！相澤先生」

「仲良く手繋いでんじゃねえ、授業中だぞ」

だが、繋いでいた手はうしろにいた相澤先生に無理矢理離されてしまった。

「っちぇ…授業中でも別に」

「何か言ったか？」

「ナニモイッテマセン」

“ 離されてしまったこの手を、この時掴み直せばよかった ”

と、ボクは後々ひどく後悔した。
この後、入学以来初の惨劇に、巻きこまれることとなったのだから────