轟兄の片割れ依存.【MHA】 (ページ11)

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愛情その十ページ11

‐焦凍side‐

兄貴は何か不安があると俺に愛情を、態度で示してくる。

抱き着いてきたり、額にキスをしたり

酷い時は学校でも頬にキスされる

「学校だぞ。兄貴」

「頬ちゅうくらい、いいだろ？」

「やめろ。皆びっくりしてる」

「ちぇっ」

今がちょうどその時だ。

この前の夜、親父と何か言い争ってから兄貴は態度が変わった。
何を言い争っていたのかは、聞こえなかった。

だけど、

あの時兄貴は

傷付いた表情をしていた

だから原因は父親に間違いない。

「兄貴」

「ン？どうした？焦凍」

ふんわりと、姉ちゃんみたいな柔らかい笑みを浮かべる兄貴。

傷付いてるのに、無理してそんな笑わなくてもいいのに

「いつもありがとうな」

「……………ひゃい？」

素っ頓狂な声を出す兄貴が面白くて、口元を押さえる

「ふっ、くく……」

「なんで急に！？てか笑ってんの可愛い！」

「いや？何となく…言いたくなっただけ」

「なんだよもう〜…」

数拍置いてAの顔が綻ぶ。

やっぱり俺と反対で表情豊かだ。兄貴は。

「焦凍」

「ン？」

「ボクからも、いつもありがとうな焦凍」

──────嗚呼

この顔は15年間一緒に過ごしてきたからわかる。

嬉しくてたまらないって顔だ。

不安とか余計なものは捨てて、とにかく嬉しいって顔だ。これは。

「どういたしまして？」

なあ、兄貴

「なんで疑問形なんだよ」

昔から俺は兄貴に頼りっぱなしで

「返答に困った」

いつも兄貴一人に抱え込ませちまう

「そこは“お兄ちゃん好き♡”って言うんだぞ？普通は」

俺は不器用だから、何もできねえ。だけど

「！そうなのか…」

「そうなんだよ。ほら、言ってみろ」

「……………兄貴、す」

────兄貴を思う気持ちだけは誰にも負けねえよ

「…………やっぱり言わねえ」

「えええ……」

大好きだ、兄貴