陸 ページ8
朝食の確保のために、川でまた魚を捕りはじめる百鬼丸を横目に、俺は簡単な傷薬を煎じていた。
すると山に木の実を採りに行っていたどろろが、飛んで帰ってきた。そして
「いい金儲けの話があるんだよ！」
「いや飯は……」
「バケモノ退治なんて朝飯前だろ？」
「…………なんだって……」
ろくに飯も食わさずに、どろろに百鬼丸と俺は手を引かれて無理矢理歩かされている。
「二人共、バケモノ退治で金儲けとか興味ねえの？」
道中、問い掛けに俺は真っ先に首を横に振った。結構激しく。
「金が目的ではバケモノ退治してるわけじゃない」
「え？じゃあ何でバケモノ退治なんてしてんだ？」
「それは……」
答えようとした時、丁度目的地の村にたどり着き、どろろはすぐに話そっちのけで村中を見回し始めた。
「結構金持ちそうな村じゃねえか」
「田畑も無いのによくもまあこんなに」
「本当にバケモノなんか出んのかな？」
「バケモノがどうかなさいましたか？」
村に入ってすぐのところで、何人かの村人に出迎えられる形で遭遇する。
バケモノという単語に敏感に反応した男が、数歩前に出てきて首を傾げた。
「知ってるぜ？困ってるってな！
このお兄さん達はバケモノ退治にかけては天下一品！」
ホイホイとどろろは商売の話を持ちかけていく。
ガキのくせに上手いもんだなァと思っていると、いい具合に食らいついた村人が
「お願いします」と、頷いたので
「いやぁ、話が早いね。“村長さん”」
とどろろはその男の背中を叩いてやったが、その村人は首を横に振った。
「いえ私は名代を務めております、伝吉と申します。」
「？村長はどうした？」
「村長は万代という御方で……何分足を悪くなされておられるので」
「足をねェ……？」
何となく引っ掛かる物言いに、伝吉という男を目を細めて怪訝そうに見遣ると、男は少し言葉を詰まらせながら口を開く。
「さ、さあ…私共の家でお食事など出しましょう。こちらです」
「うおー！話が早いね！」
「やっと飯が食える」
──何か、怪しい。この村
と思いながら俺は、飯という単語だけで鳴る腹をさすりながら伝吉の家宅に向かった。
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あんころ餅 - めっちゃ面白いです！更新大変かもしれませんが頑張って下さい応援してます (2019年2月22日 21時) (
レス) id: ca11a38786 (このIDを非表示/違反報告)
鴉 - これからどうなって行くのか凄く楽しみです(*´∀｀*)これから更新頑張って下さい！！ (2019年2月13日 17時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
カラ - すっごい続きが気になります!!これからも更新頑張って下さい! (2019年2月9日 1時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒氷雨 | 作成日時：2019年2月7日 16時
