壱 ページ3
俺は、一人
旅路の途中で通りかかった村に立ち寄り、調達できるものはないか、店を見て回っていた。
「この小刀、木を削るのにいいな」
「──ちょ──せ！」
「なんだ？」
店の前で並べられた商品に目を利かせていると、遠くから誰かの怒鳴り声が聞こえる。
気になった俺はのらりと声のする方へ足を進めた。
「ふん！知らないね！」
「このッ、野郎…！」
人集りの中央
小さな子どもと大の大人が３人がかりで、言い争いをしている。
俺は慌てて間に割って入った。
「大人が3人がかりで何やってるんですか？」
「あん？誰だ兄ちゃん？」
「Aと申します。」
「ああ、ご丁寧にどうも」
「ところで…大人が3人がかりで子どもをいじめてるのはァ、感心しませんね」
「兄ちゃんには関係ねえだろ？」
「見過ごせないものは、見過ごせないンですよ」
3人が俺の話に噛み付いてきた瞬間、子どもにだけ見えるように手先でサインを送った。
「(逃げろ)」
するとそれをしっかり受け取ったその子どもは、とても身軽な身さばきで場からさっさと逃げお失せてしまった。
「あ！アイツ逃げやがった！」
「兄ちゃんが話しかけるからだぜ！」
「あ、こら」
上手くいったと思いきや、大人共は俺よりあっちの子どもを優先したらしく、さっさと走って後を追いかけにいってしまった。
まあ、少しの時間は稼いだ。あの子なら多分大丈夫だろう。
「あ…こっちの品、なかなかいいのある…」
子どもが商売をしていた場には、商いを失った品達が寂しく立ち並んでおり、俺はそのひとつを手に取って歩き出す。
誰も居なきゃ、あれは商品じゃなく“自由に持って行ってください”ってことだろ。ある意味得したぜ。
「さてと、早く百鬼丸に合流しましょうかね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんころ餅 - めっちゃ面白いです！更新大変かもしれませんが頑張って下さい応援してます (2019年2月22日 21時) (
レス) id: ca11a38786 (このIDを非表示/違反報告)
鴉 - これからどうなって行くのか凄く楽しみです(*´∀｀*)これから更新頑張って下さい！！ (2019年2月13日 17時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
カラ - すっごい続きが気になります!!これからも更新頑張って下さい! (2019年2月9日 1時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒氷雨 | 作成日時：2019年2月7日 16時
