拾弐 ページ14
子どもを連れ帰って驚いた。
子どもの負っていた怪我は、家に着いた頃にはもう跡形も無く治っていたのだ。
「……生存者はこの子ただ一人か」
他の生存者も縋る思いであの後も探したが、誰も見つけることができず、この子を優先に帰ってきた。
「親も殺されたのだろう。この子が良ければここに置いてやるつもりだが、いいだろうか？百鬼丸」
隣の百鬼丸を見やると、寝ている子どもの隣に横になって頬を触っている。
こうして良く見てみると、百鬼丸より体が大きい。恐らく百鬼丸より年上なのだろう。
百鬼丸の兄みたいな存在になれば良いのだが
「…………ん、」
不意に、子どもの瞼が震えて、ゆっくりとそれが開かれると茶色の瞳が愛らしく覗いた。
「……あれ？ここは…………」
「起きたか。安心しなさい、ここは村から離れた場所にあるわしの家だ」
「あなたが、助けてくれた、のか？」
「ああ。…ところで君について聞きたいことがある。まずは名前を教えてくれ」
「俺の名はAです。」
Aと名乗った少年の歳は五つらしく、兄弟は居らず、両親と三人で暮らしていたと、話してくれた。
化け物のことはハッキリと覚えているらしく、両親が先に喰われ、その直後に喉元を化け物に噛まれたらしい。
「辛かっただろう」
「はい。……でもおかしい、俺も噛まれた。なのに生きてる。血で汚れてはいるのに……」
どこも痛くない。
と、体のあちこちを探っているが無傷の素肌にAは怪訝そうに眉を顰めた。
そんな彼の様子に、わしはとある事を告げてみた。
「落ち着いて聞きなさいA。
どうやら、お前の体は
死なないようになっているらしい」
その時のAの顔をわしは忘れていない。
どこか嘘だと嘲るような、しかし信じるしかない己の姿に、絶望したようなそんな顔をしていたことを。
続く
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あんころ餅 - めっちゃ面白いです！更新大変かもしれませんが頑張って下さい応援してます (2019年2月22日 21時) (
レス) id: ca11a38786 (このIDを非表示/違反報告)
鴉 - これからどうなって行くのか凄く楽しみです(*´∀｀*)これから更新頑張って下さい！！ (2019年2月13日 17時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
カラ - すっごい続きが気になります!!これからも更新頑張って下さい! (2019年2月9日 1時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒氷雨 | 作成日時：2019年2月7日 16時
