第八夜 ページ10
「うわあ゙ぁぁぁぁんんんッ!」
宮中に響き渡る誰かの泣き声に、俺は肩を落としながら“そいつ”を黙らせるために、声の主に会いに行った。
「A、うるさい黙れ」
「ッるせ!あっち行け!白龍!」
嗚呼、また泣きはじめた。
俺と同い年のくせに、子どもみたいに泣いて……正直鬱陶しい。
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数年前
「僕は練A」
「俺は……練、白龍」
まだ小さい頃、俺がAと初めて出会った時だ。
「声ちっさいなァ?白龍」
当時からAは自信に満ち溢れた顔をしていた。
ただの見栄だと俺は思っていた。
しかしそれは違った。同い年の子どもで、最低地位から皇子にのし上がったばかりの子どもだと俺は思っていたが
「A様がたった一人で軍兵を全滅させたそうよ」
「A様があの経済難だった国を、建て直したそうよ」
奴の実力は年齢以上のものだった。
“天才魔導師”と呼ばれるようになったAは、いつからか俺の視界に入らなくなっていった。
いや、俺が外したんだ。意図的に。
「白龍!一緒に夕餉でも」
「結構。」
「白龍!今度一緒に他国に」
「俺なんか必要ないでしょう」
Aを目の敵にするようになった俺は、それから徐々に奴に冷たく当たる様になった。
そしてそれに応じて、Aも少しずつ変わっていった。
「白龍なんかにはできない仕事ですもんねェ?」
「は?今、なんて言った?」
「できない仕事って言ったんだよ」
「なんだと……?」
気付けば俺達の間には、深い溝ができていた。
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それは今でも埋める気は無いが、
「はァ……何があったんですか……」
「……、聞いてくれんの?」
これ以上泣かれたらお前を殴りかねないからだよ
「実はさ、」
うずくまって鼻をすする奴を静かに見下ろしていると、奴はまた泣きそうな顔をしては、弱々しく呟いた。
「僕の姉上が結婚するんだと」
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(*∀*)ノ - おでこの赤いあざ、太陽の杖……(゜o゜;)ハッもしかしてだけど〜←古い (2019年3月29日 3時) (レス) id: f38d8ea21c (このIDを非表示/違反報告)
黒氷雨(プロフ) - 、、、さん» こちらの説明不足でした申し訳ないです。白龍は本作では第五皇子ということにしてあります。設定に付け足しておきました。説明不足で本当にすみません (2018年12月30日 10時) (レス) id: 5e51351d8b (このIDを非表示/違反報告)
ユラ - 紅玉姫超絶かわいいィィィィィィィィィ!!更新楽しみにしてます! (2018年12月17日 19時) (レス) id: 98acb8ec1f (このIDを非表示/違反報告)
、、、 - 第四皇子って白龍くんじゃありませんでしたっけ?間違っていたらごめんなさい。 (2018年12月15日 23時) (レス) id: 0235a92526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒氷雨 | 作成日時:2018年9月28日 23時