第一夜 ページ3
「あ゙〜駄目だ。うまくいかない」
煌びやかな服をまとった青年は
行儀悪く、宮中の廊下から庭に降りる階段にすわりこみ、手にした豪華な杖で地面に魔法陣を書いていた。
「式が簡単にならないやーぁ」
ぐでーっと廊下の方に上体をもたれさせて、ぼやいていた青年の頭上に、影が落ちる。
「A、少しいいか」
「紅炎兄様!」
Aは慌てて飛び起きる。
そして地面にかいた魔法陣を、足で消しながら兄上直々に足を運んでここまで来たことに大量の?を頭に浮かべていた。
「僕に何か?」
「頼みがある。俺と一緒に来い」
「え?…わ、わかりました」
裾についた土埃を簡単に落とし、廊下に駆け上がると歩き出した兄の背中を追って、Aも歩き出す。
「兄上が僕に頼み事なんて珍しいね?」
「“お前だから”頼めることなんだ」
「“僕”だから?」
「そうだ。お前にしか頼めない」
「そ…そういうことなら!仕方ない!」
Aは歓喜に震え、手にした杖を握りしめた。兄に頼ってもらえることに、これ以上ない嬉しさを噛み締めて。
しかしAはこの時、知らなかった。
“お前だから”という言葉の裏に隠された真実を。
そしてこの後、とてつもなく面倒なことに巻き込まれると、
この時のAには、知る由もなかった。
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(*∀*)ノ - おでこの赤いあざ、太陽の杖……(゜o゜;)ハッもしかしてだけど〜←古い (2019年3月29日 3時) (レス) id: f38d8ea21c (このIDを非表示/違反報告)
黒氷雨(プロフ) - 、、、さん» こちらの説明不足でした申し訳ないです。白龍は本作では第五皇子ということにしてあります。設定に付け足しておきました。説明不足で本当にすみません (2018年12月30日 10時) (レス) id: 5e51351d8b (このIDを非表示/違反報告)
ユラ - 紅玉姫超絶かわいいィィィィィィィィィ!!更新楽しみにしてます! (2018年12月17日 19時) (レス) id: 98acb8ec1f (このIDを非表示/違反報告)
、、、 - 第四皇子って白龍くんじゃありませんでしたっけ?間違っていたらごめんなさい。 (2018年12月15日 23時) (レス) id: 0235a92526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒氷雨 | 作成日時:2018年9月28日 23時