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「…コンビニ寄って良い?」


相合い傘の途中。

話し掛けるタイミングが中々見当たらず、沈黙が流れ続けていた時。

ふと、善逸君が口にした言葉だった。


「…あ、うん。」


辺りはすっかり暗くなった、コンビニの光が明るすぎて目が痛い位だ。

入り口に着いたとき、先に入るようにと促され、暫くして後から彼も着いてきた

彼は自身の鞄の側面からお財布を取り出す


「…肉まんを二つ下さい。」


慣れている。


「あ、もしかしてAちゃん。お肉嫌い?」


ブンブンと必要以上に首を横へ振ると、彼は安心した様子で再びレジへ向き直り会計を始めた。


「…あ、ありがとう我妻君。お金は後で払うよ。」
「良いよ、俺の奢りだから。」


男らしい…、やっべ惚れそ。

待って、本当に。あのくっそ汚い高音は何処に行ったの。

家に忘れてきたの?そっか、じゃあ帰ったらいつも通りに成るのか。

むしろなって貰わないと。
…煩くない君の扱い方が分からないから。下手をすれば嫌われてしまうやもしれない。

にしても、奢って貰うだなんてなんだか少し申し訳ないな。
後でなんやかんやイチャモンをつけて肉まんの分のお金を押し付けるとしよう。

彼は女性の言葉に弱いはずだ


「…あ。」


傘を開いて再び歩き出そうとした時、彼がふと何かを思い出したかの様に立ち止まった


「…後で俺に無理矢理お金を押し付けようとかダメだからね。」


この時私は、一瞬だけ彼が沢山のペットを自身の家で飼っている様な気がした。





家に着いた。

歩いている時ずっと無言だったので、こんな少しの変化だけでも私にとっては充分に有難い

雨は先程とは比べ物にならないくらい勢いを増していた。

滝ではなく倒れたバケツの水そのもの。

普段お世話になっている水と言うものがどれだけ便利で、どれだけ恐ろしいものであるかを学べた


「此処だよ、」


大きなお家、縁側も庭もあるんだ。

かちゃり。と音がして、扉が開くのと同時に雨を遮っていた物がなくなる


善逸の匂いがした。


傘をパタパタと払うと、彼は私を玄関口の段差に座る様促した

彼の右肩だけが濡れ、透けていた。私を傘に入れたせいで善逸君がはみ出てしまったのだろう

水で濡れると香りが広がるタイプの物らしい。彼が動く度に物凄くいい匂いがする

座った横にあった絨毯からは、おんなじ柔軟剤の匂いがした。落ち着く。

……ヤバイ私ただの変態かもしれない

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設定タグ:鬼滅の刃 , 我妻善逸 , キメツ学園   
作品ジャンル:アニメ
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あああ - 返信がめちゃくちゃに遅れてしまい本当に申し訳ございません……!!ひぇぇ、神だなんて…!漢字が違います紙です紙っ…!ありがとうございます!頑張っていきます! (2020年9月22日 15時) (レス) id: 57687b0d2c (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - 控えめに言って神です、大袈裟に言って大泣き出来るほどの素晴らしい作品です←これからも更新頑張ってください!! (2020年4月8日 6時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 凪さん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません…、コメント頂き有り難うございます。控えめに言って最&高…!?嬉しいです!更新頑張って行きますので、これからも宜しくお願い致します! (2020年2月11日 22時) (レス) id: d51802be4f (このIDを非表示/違反報告)
- 好きです控えめに言って最&高 更新頑張ってください (2020年2月1日 22時) (レス) id: b575dccd32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あああ | 作成日時:2020年1月7日 14時

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