ここでキスして。 (ページ7)

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室「あれ、康二がおべんきょしてる」

藤井「ほんまや」

「うわ、気ぃ散るぅ！！」

レッスン前、隅っこで教材を広げていれば群がってくる喧しい奴ら。右手で追い払うと、るーたくんがひょいっと俺の手元からテキストを引っ張りあげた。

「あ！」

室「英語ぉ？なに、お前英語得意やん？」

「得意でも勉強はするし！」

室「中間終わったて言うてたやん、なんの勉強してんの？」

痛いとこをつかれる。ぐうっと黙り込んでしまうと、一緒に覗き込んでいた流星がギュッと目を細めた。

藤井「はっはぁ〜ん」

「…なんよ」

藤井「アイツやろ」

室「アイツ？…あ！！クズ田！！」

「クズ田言うな！」

藤井「アホ田におべんきょ教えたるんやろ？
お前ほんっっっま、健気やな」

褒めるよりは呆れた表情の2人に、何故か悪いことをしてる気分になる。

室「アイツ、前カラオケおったで」

藤井「一人？」

室「なわけ！かぁいい女の子とおふたり」

藤井「相変わらずモテモテやな、クソムカつく」

「だーーー！！もぉ！！う、る、さ、い！！」

テキストを取り返して、リュックに突っ込む。
勢いよくチャックを閉めると、流星がやれやれと俺の前にしゃがみ込んだ。

初対面はいつだったか、Aと関ジュメンバーはすこぶる馬が合わない。大西の流星から下は面識も無いしそうでも無いけど、俺ら世代ドンピシャはもうダメ。

たまに事務所まで迎えに来るAと顔を合わせれば嫌味の言い合いが始まる。

藤井「アカンで康二、調子乗るから付け上がるんや」

室「せや！『更生しろ下半身猿！！』くらい言ってもええんちゃう？」

「いや、言い過ぎちゃうかな…」

藤井「そうでも言わんと辞めんやろ」

それが言えてたら、こんな長いこと悩んでへんもん。

リュックを抱えて蹲ると、また頭の上からため息が降ってくる。ガシガシと乱暴に頭を撫でてくれるあたり、なんだかんだ一番応援してくれてんのもこの人らで。

室「…ムカつくなぁ、篠田」

藤井「ホンマになぁ、こんなに康二のこと泣かせて」

「泣いてへん！！！」

室「自分のためにお勉強するような子やのになあ」

「勉強は…俺受験生やし、別に…」

庇護してくれるのがこそばくて、もごもご口の中で喋る。
なんか静かになったなと思ったら、2人があんぐり口を開けていた。

藤井「ほんまや、康二受験生や…」

室「デカなってぇ…！！！」

「うーざーい！！」

親戚の集まりかなんかかココは！